米アップルから正式にiPhone 5s/5cが発表された(関連記事)。噂通りNTTドコモによる新iPhoneの扱いも決まり、国内の携帯大手3社がiPhoneを発売することになった。国内の携帯各社の競争は新たな局面を迎えることになる。

 現時点(9月12日午前)で、各社から料金やキャンペーンの詳細は明らかになっていない。ただアップルが公表したiPhone 5s/5cのLTE対応バンド(参考資料)からは、今後の国内3社の競争の行方、そしてアップルが今回の新機種に込めた深意の一端を読み取ることができる。

基本は北米向け、欧州向けの2モデル、さらに派生モデルが2モデルの構成

 iPhone 5s/5cのネットワーク面からみた最大の特徴は、iPhone 5と比べて大幅にLTEの対応バンドが増えた点だろう(写真1)。A1456(iPhone 5c)/A1453(iPhone 5s)というNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社が扱うモデルは、LTEの対応バンドがなんと13バンドもある。iPhone 5、例えばソフトバンクモバイルが導入したA1429 GSMモデルでは、対応バンドは、Band 1(2.1GHz帯、IMTコアバンド)、Band 3(1.8GHz帯、日本における1.7GHz帯)、Band 5(850MHz帯、韓国の事業者などが利用)の3バンドしかなかった。iPhone 5が対応した1.7GHz帯という周波数帯を欲しかったゆえに、ソフトバンクは昨年、イー・アクセスを会社ごと買収するという大技を見せた(関連記事)。わずか1年前にもかかわらず状況は大きく変わり、まさに隔世の感がある。

写真1●LTEの対応バンドが大幅に増えたiPhone 5s/5c
写真1●LTEの対応バンドが大幅に増えたiPhone 5s/5c
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 iPhone 5s/5cがこれだけ多数のLTEバンドに対応したということは、アップルはできるだけ多くの通信事業者にiPhoneを扱ってもらい、より多くのユーザーに製品を届けたいと意思の表れと言えるだろう。