Windowsのバージョン別の感染率。XPの感染率が圧倒的に高いのが分かる。感染率はComputers Cleaned per Mille(CCM:Milleは1000)単位で表し、1四半期に「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」を1000回実行するごとにクリーニングされたコンピューターの台数を示す。「32」は32ビット版、「64」は64ビット版、「SP」はサービスパック、「RTM」は初期出荷版。2012年第4四半期のMicrosoft Security Intelligence Reportより引用した。
Windowsのバージョン別の感染率。
XPの感染率が圧倒的に高いのが分かる。感染率はComputers Cleaned per Mille(CCM:Milleは1000)単位で表し、1四半期に「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」を1000回実行するごとにクリーニングされたコンピューターの台数を示す。「32」は32ビット版、「64」は64ビット版、「SP」はサービスパック、「RTM」は初期出荷版。2012年第4四半期のMicrosoft Security Intelligence Reportより引用した。
[画像のクリックで拡大表示]

 Windows XPを使い続けることの問題のうち、もっとも大きなものは、セキュリティリスクだ。サポート終了にあたり、マイクロソフトは、今後、脆弱性が見つかったとしても、XPに対する修正パッチを提供しなくなる。悪意を持つ第三者にとっては、XPを狙い撃ちした方が、成功率が高まるということでもあり、その危険性は余計に高いものとなってしまう。ただでさえ、Windows 7やWindows 8を使っているよりも危険なのに、それが加速化されるわけだ。

 ご存知のように、環境が正常に稼働していて、何の問題も起こっていないうちは、このままでも大丈夫なんじゃないかと思ってしまうかもしれない。だが、いったんトラブルが発生してしまうと、手がつけられないほどの大騒ぎになることは明らかだ。企業の規模によっては、新聞沙汰になってしまうようなこともあるかもしれない。

あらゆるトラブルを想定して記録は残す

 そのときに問われるのは責任の所在だ。いったい誰が悪いのか。サポートしなくなったマイクロソフトが悪いのか、サポートが切れているのを承知で使い続けた方なのか。当然、後者となるわけだが、組織の中ではどうだろうか。ある程度の予算を割いて移行を推進しようとしているのに、なかなか予算や承認がおりないといったケースもよくきく。それは、聴く耳を持たなかった上が悪いのか、上を説得できなかった関係者が悪いのか。

 もちろん、移行に伴って、別のトラブルが起こる可能性だってある。業者に移行を任せたら、思わぬトラブルに陥り、にっちもさっちもいかなくなることだってあるかもしれない。

 転ばぬ先の杖というわけではないが、何かが起こったときのために、誰が何をどうしたかを明確にしておいたほうがいい。業者については免責をのまざるを得ないことが多いと思うが、自社組織の中では、さまざまな経緯について、きちんと記録をとっておき、言った言わない、といったことが起こらないようにしておこう。10年以上にわたって使い続けてきたものを変えるというのはそういうことなのだ。

 Windows XP終了まであと30週。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei