「ウチソト」から「層」へ

 ネット経済を取材し続けてきた著者は本著の前半で、民主主義が台頭してきた歴史的なプロセスを分析。「民主主義はウチに富を集め、ソトの富を奪うことで成り立ってきた。ITはこの構図を破壊し、新たな場を作る」という主張に落とし込む。

 その場は、ITのインフラ上に様々なサービスや企業、個人が重なり合う「レイヤー」状を呈する。場の運営者の代表はグーグルやアップル、アマゾン・ドット・コムなどだが、既に製造や金融、行政や教育などの分野でレイヤー化が進むことを具体的に示す。場の運営者が、各レイヤーのプレーヤーの行動や成果を把握するために、ビッグデータを活用するという指摘は新鮮だ。

レイヤー化する世界


レイヤー化する世界
佐々木 俊尚 著
NHK出版発行
861円(税込)