米マイクロソフトとフィンランド ノキアは2013年9月3日、マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を54億4000万ユーロ(約7134億円)で買収することで合意したと発表した(関連記事)。

 かつてフィーチャーフォン全盛の頃、ノキアは携帯電話端末メーカーの頂点に君臨していたが、ついに携帯電話の開発・製造に終止符を打つことになる。そしてマイクロソフトからみると、本格的なハードウエア分野への進出となる。ノキアからは約3万2000人がマイクロソフトへ移籍する。ノキアの携帯電話事業を手に入れたマイクロソフトは何をしたいのだろうか。

マイクロソフトとノキアの提携の経緯

 日本ではマイクロソフトは誰もが聞いたことがある著名な企業だが、ノキアという企業はいまや業界関係者以外には馴染みが少ないかもしれない。世界的にはノキアはかつて携帯電話の代名詞とも言える企業だった。あらゆる国で老若男女を問わず人気があった。現在でも新興国を中心にそのような印象を持っている人は多い。

 だが、スマートフォンの登場によって形成が大きく変わってしまった。2007年にiPhoneが登場、2008年にはAndroidを搭載するスマートフォンが登場した。多くの端末メーカーがAndroidを採用する中、ノキアはかたくなに「Symbian OS」でスマートフォンを供給し続けていた。

 しかし業績は悪化していき、改善の見通しがつかない中、2011年2月にマイクロソフトとの提携を発表。同社が提供している「Windows Phone」を搭載するスマートフォンを供給するようになった。ここからノキアはWindows Phoneを主軸としてスマートフォンを開発していくようになった(表1)。

表1●ノキアとマイクロソフトのこれまでの携帯電話事業に関する動向
公開情報を元に筆者作成
年月主な出来事
2008年6月ノキア、Symbianを買収。Symbian Foundation設立
2009年2月S60などのソースコードをSymbian PlatformとしてEPLで公開(2011年1月からはノキアからオープンソースとしてリリース)
2009年2月ノキアはQualcommとスマートフォンの開発で提携を発表
2009年10月アクセンチュアはノキアのSymbianサービス部門を買収
2010年2月ノキアとIntelが「MeeGo OS」発表(2011年6月、唯一の「MeeGo OS」スマートフォン「Nokia N9」発表)
2010年2月Windows Mobileの後継OS「Windows Phone7」発表
2011年2月ノキアはマイクロソフトと提携。ノキアは「Windows Phone」に注力することを発表
2011年4月ノキアは「Symbian OS」をアクセンチュアに移管。事実上、「Symbian OS」開発終了。
2011年11月ノキアのWindows Phone「Lumia」シリーズ販売開始
2012年10月「Wondows Phone8」リリース
2013年9月マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を買収