(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
今回の回答者: NTTドコモ 移動機開発部 要素技術担当 技術推進担当(兼務) 担当課長 工学博士 横尾 雅之 |
携帯電話回線(3G)と公衆無線LAN(Wi-Fi)を両方使える環境でスマートフォン(スマホ)のデータ通信を行う場合、一般にWi-Fiを使うほうがバッテリーの持ちはよくなります。無線通信では通常、アンテナとの距離が遠ければ遠いほど、消費電力は大きくなります。つまり3Gに比べてアンテナのカバー範囲が狭いWi-Fiのほうが、消費電力は小さいのです。
NTTドコモのスマホを数機種使い、都内の平均的な電波状況の場所でバッテリーの減り具合をテストしたことがあります。3Gのアンテナまでの距離が約1km、Wi-Fiのアンテナまでの距離が数十mという環境です。その環境でそれぞれの回線を使ってWebページを閲覧したときに、機器全体の消費電力量を測定しました。結果は機種によって違いはあるものの、Wi-Fiの消費電力量は3Gより、2割から4割少ないというものでした。Wi-Fiルーターを持っているユーザーなら、データ通信をWi-Fi経由に絞ることで、スマホのバッテリーの持ちがよくなります。
ただし、NTTドコモのスマホにおける電波の出力は、Wi-Fiを使うときは一定ですが、3Gの場合はアンテナまでの距離に応じて変えています。このため、3Gのアンテナが極めて近い環境では、3GのほうがWi-Fiより消費電力が小さくなる場合もあり得ます。
スマホの消費電力を徹底的に抑えたいのなら、データ通信しないときはWi-Fiをオフにするとよいでしょう。3Gは音声通話に使うため、通常オフにできませんが、Wi-Fiならば問題ありません。
スマホは、電波状況が変化すると、よりよい環境のアンテナを探そうとします。Wi-Fiをオフにすれば、Wi-Fiのアンテナを探そうとする電力を使わずに済みます。例えば車で移動している最中にWi-Fiのアンテナを検出しても、すぐにアンテナから離れてしまうため使えなくなりますよね。こうしたときはWi-Fiをオンにしていても無駄なのです。