写真1●スタディストが提供する「Teachme」
写真1●スタディストが提供する「Teachme」
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 あらゆる製品やサービスに必ずといっていいほど付いてくる製品説明や使用方法が書かれたマニュアル。企業においても経費精算や出張申請の仕方など、様々な“マニュアル”が存在している。最近でこそ電子化されていることも多いが、いざ必要な時になると、なかなか見つからず、見つかっても情報が少し古いということは日常茶飯事だ。

 そもそも分量が多く読む気すら起こらないこともある。そんな状況をスマートフォンのカメラを使って改善するツールと言えるのがスタディストが開発・提供するサービス「Teachme」だ(写真1)。誰もが共有できる分かりやすいステップアップガイドを作成するためのサービスで、業務用マニュアルだけでなく商品説明や道案内など、手順を示すことが有効なあらゆるシーンでの利用が想定できる。

 一般のユーザーが閲覧できるWebサイトから見ると、Teachmeはコンシューマ向けサービスのような立て付けだ。だが、9月からは本格的に法人向けにサービス展開を進める。Teachmeが目指すのは「伝えることを簡単にする」ことであり、それを基に仕事のやり方を変えること。オペレーショナルワークの時間を効率化し、クリエイティブワークに多くの時間を割けるようにすることを狙う。

使われぬマニュアルに忸怩たる思い

写真2●スタディスト代表取締役の鈴木悟史氏(右)、同取締役の庄司啓太郎氏
写真2●スタディスト代表取締役の鈴木悟史氏(右)、同取締役の庄司啓太郎氏
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 スタディストを創業した代表取締役の鈴木悟史氏(写真2)をはじめ、同社の7人のメンバーはいずれもスタディスト参画前、製造業向けのコンサルティングに従事し、製品開発のプロセスを半減するといった業務改善を指導していた。

 業務を分析し、最終的にクライアントにはマニュアルを納品する。マニュアルの作成はPowerPointやExcelで作成し、それらをデータだけでなく、ファイリングして納める。7人が携わったマニュアルは合計で10万ページにも上ったという。

 ただ、それだけ大量のマニュアルを作成しても、実際の現場で本当に役に立っているのか疑問に思うこともあったという。「なかなかプロセス通りには進まないし、マニュアルもどんどん変わっていく。作るのも大変で、維持するのも大変となると、それをおもりする人が大量に必要になる。そうなってしまうとうまくいかないですよね」。鈴木氏は当時をそう回想する。せっかく作ったマニュアルがキャビネの奥に眠ったまま、ということもあったという。そうした状況に一条の光を当てたのがスマートフォンだ。

 「マニュアルは基本的には実物の写真を撮って、それをPowerPointに画像として取り込んで、貼りつけて、といったように作っていく。それなら初めから写真が撮れるiPhoneで、マニュアルを誰もが作れるようにすればいいのではないか」。そんな発想がTeachme開発の背景の一つだったという。鈴木氏は日本でiPhoneが発売された当日に入手し、そこへ一歩踏み出した。