企業がソーシャルメディアをビジネスに活用し始めるとき、ソーシャルメディアのどういった部分に期待をし、どんな効果を求めているのだろうか。例えばソーシャルメディアを語る際にほぼ必ず言及される「リアルタイム性」や「インタラクティブ性」。あるいは、顧客の持つ「ソーシャルグラフ」、つまり「ソーシャルメディア上の“つながり”」を経た「情報の拡散性」などが考えられるはずだ。

 特に「情報の拡散性」については、企業が特に注目してきたはずだ。ソーシャルメディアを活用した施策や、企業が持つ「公式アカウント」のパフォーマンスを評価するための1つの指標として、Twitterなら「リツイート数」、Facebookなら「シェア数」が設定されているというケースは少なくない。

 自分たちが発信した情報がソーシャルメディア上でどれだけ広がっているのか、それをバイラル(口コミ)的な効果も含めて見ていきたいということを、ソーシャルメディアを活用している企業は必ず考えるはずだ。

 ところが最近、こういった期待を打ち砕くような調査結果が発表されたことをご存知だろうか?それが、パリに本社を構えるグローバルな市場調査会社であるIpsos OTXと、同社が世界24カ国で実施するGlobal@dviserの調査をもとに発表した“Sociologue”で、ここには非常に興味深い結果が載っている。筆者が見る限り、あまり日本国内で(日本語に訳された状態で)広がってはいないようだ。

表●アジア太平洋地域のインターネットユーザーが、2013年4月に“シェア”したコンテンツ
表●アジア太平洋地域のインターネットユーザーが、2013年4月に“シェア”したコンテンツ
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 この調査は「Content that Internet Users in Select Countries in Asia-Pacific Have Shared on Social Media, April 2013(アジア太平洋地域のインターネットユーザーが、2013年4月に“シェア”したコンテンツ)」と題されている。16歳から64歳までの、合計1万8150人のインターネットユーザーを対象に、2013年4月2日から16日までの2週間で調査したものである。今回公表されたのはインド、インドネシア、中国、オーストラリア、大韓民国、そして日本の6カ国である()。

 表を見るとわかるが、これらの国々のインターネットユーザーの全体的な傾向では「写真/画像」をシェアする割合が非常に高くなっている。特にインドは「写真/画像」や「個人の意見」だけではなく、シェアするコンテンツの種別が非常に広範囲にわたる。その一方で中国のユーザーには「ニュース」のシェアが、他に比べて低いという特徴がある。