多くの企業でIT部門の予算は既存システムの運用・保守が大半を占め、CIOやIT部門が自らの判断で使える予算は限られている。ビジネスに直結するITの予算は、そのビジネスに責任を持つ事業部門が握るケースが多いからだ。だが、それではIT部門がビジネスの変革や新規ビジネスの創出の取り組みに対して傍観者になったり、受け身になったりしてしまう恐れがある。

代表取締役 副社長執行役員
北前 雅人(写真:太田 未来子)
その解決策になりそうなのが、IT部門自身に社内やグループ会社向けの“新規ビジネス”を創出させ稼がせることである。大阪ガスの事例が参考になる。同社の情報通信部のビジネスアナリシスセンター(BAC)は、ビッグデータの先進的な取り組みで名高いが、データ分析を活用したビジネス提案や業務改善案を事業部門に売り込み、採用されるとその対価を受け取る。社内管理上の数字のやり取りだが、その効果は絶大だ。
「事業部門とどれだけ密接な結び付きを持って、必要なものを提供できるかが全て。商売だからこそ、世の中に先駆けて提供できるものを一生懸命に探す」と大阪ガスのCIOである北前雅人 代表取締役 副社長執行役員は指摘する。
実際、BACの担当者は事業部門に日参して、“商売”の芽を探す。その結果として、事業部門のビジネスの創出や変革に貢献している形だ。