イノベーションを起こすためのICTにおける“武器”にはどんなものがあるのか。最近登場した技術やサービスの多くは、「第3のプラットフォーム」と呼ばれる、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルの4領域に関連する。しかも、それぞれは組み合わさることで威力が何倍にもなっている。技術の詳細はさておき、「何ができるのか」を押さえれば、他社との差異化を生む新しい組み合わせが見えてくる。

 「従来は思いもしなかった、または、やりたくても何らかの壁があって実現できなかった手法によって、企業価値を向上させること」―。pp.16-17で示した、本冊子におけるイノベーションの定義だ。この手法には様々なものがあり得るが、最有力候補は間違いなく情報通信技術、すなわちICTである。安倍晋三政権においても、成長戦略の“武器”としてICTを位置付けている。

 ただ、ひと口にICTと言っても幅広い。様々な技術やサービスが日夜生まれている。まだ何に使えるか分かりづらいものから、実用期に入り付帯サービスが登場し始めたものまで、レベルもまちまちだ。イノベーションを起こすためには、詳細は知らずとも、どんな“武器”があり、その特徴は何かを押さえておきたい。そこで以下では、日経コンピュータをはじめとした日経BP社発行のICT系雑誌の記事をベースに、イノベーションのシーズとなり得る技術やサービスを見ていこう。

小さく生んで大きく育てるのに適したクラウド

 最近登場した技術やサービスの多くは、「第3のプラットフォーム」に関連する。第3のプラットフォームはITリサーチ会社であるIDC Japanが定義したもので、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルの4領域を指す(図1)。この分野で先行するのは、米アップル、米アマゾン・ドット・コム、米グーグル、米フェイスブックのいわゆる「新ビッグ4」。このグループの一角に入ろうと、各社がしのぎを削っている。

図1●「第3のプラットフォーム」がイノベーションの中心に
図1●「第3のプラットフォーム」がイノベーションの中心に
クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルという、第3のプラットフォーム市場を構成する4つの要素(定義したIDC Japanの表現では、クラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャル技術)が、いま、イノベーションの“シーズ”として注目されている。なお、第1のプラットフォームはメインフレーム、第2はクライアント/サーバーである。