連載終了にあたって

 本連載では全19回にわたって、ソフトウエア生産技術とそれらを取り巻く環境やトレンドについて紹介しました。今日のビジネス環境は、新サービスが展開されるまでの期間が短縮しているだけでなく、グローバル市場で海を越え、そして業界を超えた大競争時代に向かっています。求められる価値も常に変わり続けており、市場の環境変化や顧客のニーズを見極めて、スピーディーに対応することが今まで以上に求められています。

 そのような状況の下で、ビジネスを支えているのは間違いなくITシステムであり、ソフトウエアです。今後はソフトウエアを生み出す能力となるソフトウエア生産技術が大競争時代を勝ち抜くための鍵となるでしょう。

 具体的には、第3回から第5回までで紹介した「変化する要求へ対応」するためのフィードバック手法や、第6回から第19回までで紹介した「開発速度と品質の両立」に向けた開発技法の活用が有効になります。

 労働集約型ともいわれてきたソフトウエア開発が、読者の皆様に知識集約型産業に見えるきっかけとして、本連載が少しでも役に立てたのであれば幸いです。

田中 久志           
NTTデータ 技術開発本部    
ソフトウェア工学推進センタ 課長