ソフトバンクの支援で2013年7月1日に更生手続きが完了したウィルコムは、7月4日に新製品発表会を開催した。「通信業界のLCC」をうたい、スマートフォンのパケット通信料を大幅に抑える料金プランを公表した同社。その取り組みからは、どのような戦略が見えてくるだろうか。

経営破たんしたウィルコムはどうやって再生した?

 新製品に関する話をする前に、まずは経営破たんしたウィルコムが、どのようにして再生を遂げたのかについて触れておこう。

 ウィルコムは2010年2月に会社更生法を申請して経営破たんし、スポンサーとなったソフトバンクの支援を受けて再建を進めることとなった。その過程で、ウィルコムの中心事業であるPHSと、経営破たん前に整備を進めていた「XGP」方式による無線ブロードバンド通信事業は分離。後者はソフトバンクらが出資し、現在AXGP方式でモバイルブロードバンド通信サービスを提供するWireless City Planning社(以下WCP)に移管されるなど、同社の環境は大きく変化した。

 だが月に500回、回線を問わず10分間定額で通話ができる「だれとでも定額」の提供開始に加え、ソフトバンクの支援により、新製品投入やプロモーションも再び積極的に行われるようになった。これにより、2010年12月には378万にまで落ち込んでいた会員数も、2013年6月末時点では549万に達するなど大幅に増加。2011年度第2四半期には、四半期ベースでの黒字を実現するなど、業績も大きく改善してきている。

 そこで6月1日に、ソフトバンクから271億円を調達して債権を一括で繰上弁済。6月17日には東京地方裁判所に会社更生手続きの終結申し立てを実施。7月1日に、当初の予定より3年早く、ウィルコムの会社更生手続きが終結することとなったのだ。

 会社更生手続きが完了したことで、ウィルコムは正式に、ソフトバンクの連結子会社となった。元々KDDI傘下であったウィルコムが独立し、さらにライバルのソフトバンク傘下となるのは意外な印象もあるが、それだけ通信業界が大きく変動してきた証しともいえる。

ウィルコムは「だれとでも定額」の開始以降加入者数を大幅に増やし、7月1日には会社更生手続きも終結。晴れてソフトバンクの連結子会社となった
ウィルコムは「だれとでも定額」の開始以降加入者数を大幅に増やし、7月1日には会社更生手続きも終結。晴れてソフトバンクの連結子会社となった
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