「世界中で買収した子会社の名前を、2012年度、全てNTTデータブランドで統一した。当社グループ内の連携が深まってきた」。NTTデータの岩本敏男社長は、グローバルビジネスの拡大に手応えを感じている(図1)。

図1●NTTデータの重点領域と連結業績推移
図1●NTTデータの重点領域と連結業績推移
海外でM&Aをさらに進めて売り上げを拡大し、2016年3月期までに「グローバルトッ プ5に入る」と岩本敏男社長は力を込める。
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 NTTデータの2013年3月期連結売上高は前年度比4.1%増の1兆3019億円と、連続増収記録を24期に伸ばした。原動力となったのが、海外における積極的なM&Aだ。2010年に約1100億円を投じて米キーンを傘下に収めたのを皮切りに、アジアや欧州でも買収攻勢を展開。2011年3月期に1015億円だった海外売上高は、前期は2324億円にまで拡大した。

独伊の子会社が連携

 ブランド名を統一した狙いは、成長スピードの加速にある。従来は、買収した子会社同士が連携しておらず、受注活動に障害があったという。「社名の統一で、独伊の子会社が一体となって営業活動を実施できるようになり、伊フィアットから自動車製造システムの一部を受注できた」とグループ経営企画本部経営企画統括部の中村元紀部長は効果を語る。

 NTTデータは2016年3月期までに連結売上高を1兆5000億円に伸ばし、そのうち3500億円を海外で稼ぐ計画だ。達成には、今後3年間で海外売上高をさらに1200億円増やす必要がある。

 傘下に収めた海外子会社の収益性を改善することも重要だ。現時点では海外事業は利益に貢献していない。買収に伴うのれん代の償却が、グローバルビジネス部門の営業利益を圧迫しているからだ。今期は100億円程度の負担が発生する見込みだが、「償却後に営業黒字を計上したい」と岩本社長は意気込む。

 国内事業では、マイナンバー関連が追い風となる。岩本社長は「今期の業績には織り込んでいない」としているが、「年金や税金のシステム改修を受注できれば、利益水準が大きく改善する」とSMBC日興証券の菊池アナリストは指摘する。