2013年3月期まで5期連続で減収を続けている富士通。復活に向けた喫緊の課題は、不振事業を整理して主力のITサービスに経営資源を集中することだ。そこで前期に1505億円の特別損失を計上。「思い切ったリソースシフトを行うことで、2014年3月期にV字型の急速な利益回復を実現したい」と山本社長は力を込める。

 まず着手したのが、不振が続いていた半導体事業の切り離しだ。2月にはパナソニックとシステムLSI事業の統合で基本合意。4月にはマイコン・アナログ事業を米半導体メーカーに売却するなど、続けざまに手を打った。「半導体の構造改革については五合目まで来た」。山本社長は4月、決算会見でこう述べた。

 半導体以外でも構造改革を加速する。早期退職などによって国内外で5000人の削減に踏み切り、営業部門への人員配転や幹部社員の報酬カットも実施。不振の欧州事業でも、サービスを主体としたビジネスへの転換を急ぐ。

 こうしたコスト削減で営業損益を年間400億円改善。2016年3月期に2000億円以上の営業利益を達成するのが目標だ(図1)。

図1●富士通の重点領域と連結業績推移
図1●富士通の重点領域と連結業績推移
山本正已社長は、半導体事業の構造改革や人員削減などで2014年3月期に「急速な利益回復を実現する」と意気込む。
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