作業の中には様々な危険が潜んでいる。特に1人作業のときは、周りからの注意やフォローがないため、事故や障害になることが往々にしてある。1人作業の前には、どんな危険があるかを考える習慣付けが必要だ。今回は習慣付けのトレーニング手法として「自問自答カード1人KYT」を紹介する。

 前回紹介した「KYT基礎4R法」がチームで討議して行う手法であったのに対し、今回紹介する「自問自答カード1人KYT」は、名前の通り1人で行うトレーニング手法だ。「KYT」とは「K=危険、Y=予知、T=トレーニング」の略語である。

 危険に対する感受性を鋭くするという目的は、KYT基礎4R法と同じであるが、チームではなく1人で実施するところに違いがある。

声を出しながら自問自答する

 1人KYTでは作業中の一場面を描いた1枚のイラストシートを使用する(図1)。それを使いながら、1人で「自問自答カード」のチェック項目を1項目ずつ声を出して自問自答しながら確認し、危険を発見、把握する。

図1●「自問自答カード1人KYT」で使用するイラストシートの例(客先作業)
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 1人KYTの問題点は、1人で早く実践しようとすると重要な危険を見落とす可能性があることだ。それを防ぐために、前もって職場の話し合いでチェック項目を決めて自問自答カードを作成しておく。

 CTCテクノロジーで実施している危険予知(KY)研修では、イラストシートにあらかじめ自問自答カードを張り付けている。自問自答カード1人KYTは、1人ひとりの危険に対する感受性を鋭くすることを狙った手法であり、1人で作業をするとき、作業中にどんな危険が潜んでいるかを考える習慣付けに有効だ。