IT業界の中でも、「開発・管理プロセス」という言葉を聞いて、その具体的なイメージが浮かばない人がいるかもしれません。日ごろから経験則に基づいてシステム開発や管理をしているため、あまり意識することはない人もいると思われます。

 しかし、安定したシステム開発を継続的に進めるためには、組織などが定めた「標準」としての開発プロセスと管理プロセスが必要です。これらは絶対的なルールではなく、“基準となる作法”ともいうべきものであり、プロジェクトの特性に合わせてカスタマイズして利用するものです。

 「開発プロセス」とは、ウォーターフォール型開発を例にとると「要件定義」や「設計」、「製造」、「テスト」、「移行」といった各開発工程での作業内容と、利用する成果物様式(設計書や仕様書など)を定義したものです。

 例えば要件定義工程では、顧客からの要求を数値的・論理的に明確化していく作業内容を具体的に定義したものになります。成果物様式には、業務の流れを示す図(業務フロー図)や画面を示す図(画面定義書)、画面の流れを示す図(画面遷移図)などがあります。

 「管理プロセス」とは、上記の成果物を作成する過程で、作業の状態を「見える化」し、問題をチェックして原因を特定し、次の対策を打つまでの一連の流れを定義したものです。

 ソフトウエア開発の自動化には大きく8つの領域があることは、本連載の中で解説してきた通りです。図1に示したように、開発・管理プロセスはそれらすべての領域の要件を反映し、開発プロジェクトが安定するよう全体を下支えする位置付けにあるといえます。開発・管理プロセスを検討するにあたっては、各領域での整備と連携し、かつ全体として整合が取れていることを求められます。

図1●開発・管理プロセスの位置付け

 以上を踏まえて本節では、ソフトウエア開発の自動化に伴って開発・管理プロセスにどのような考慮事項が必要となるのか、代表的なポイントを説明していきます。