6月に開始した本連載は、今回と次回でいったん終了する。連載の締めくくりとして、親の立場で、小学校高学年から中学生や高校生にいたる子供のスマートフォン(スマホ)利用にどう向き合うべきかを書いてみたい。

 子供たちの携帯電話やスマホの使い方は、刻々と変化している。そのため常に正解はなく、時間の経過とともに新しい問題が出現する。筆者は残念ながら、日本中のすべての事例に精通しているわけではない。あくまで現段階で、筆者が知る範囲という限界はあるが、精一杯の考えをまとめてみた。

いつからケータイ・スマホを与えるか?

 筆者が参加したスマホにかかわる講演や会合で、保護者から受ける質問で最も多いのは、「いつから携帯電話やスマホを持たせたらいいか」というものだ。

図1●2012年度青少年インターネット利用環境実態調査

 図1(2012年度青少年インターネット利用環境実態調査、内閣府)を見ると、高校生の携帯電話所持率は98.1%で、ほぼ全員が所持している。もう高校生には、「持たせない」とは言いづらい状況だ。小学生の所持率は27.3%と4分の1程度なので「まだ持たなくていい」と言いやすい。過半数を超えた中学生では、持たせないことへの説得が難しくなってくる。グラフを見るだけだとそういう状態が予想できるが、現状はそんなに簡単ではない。

 特に小学生の場合、地域差、個人差が大きいようだ。

 最近になって急増してきたのは、小学校の保護者からの「子供がスマホを欲しがって仕方がない」「毎日言われて疲れてしまう」という声だ。保護者に聞くと、どの子供も「みんなが、スマホを持ってる」「みんなが持っていて、自分だけ持ってないから仲間はずれになる」「だから買って」と主張するという。

 彼らの「みんな」とは、クラス全員とか学校全員とかいう意味ではなく、「彼らにとって重要な友だち全員」程度の意味である。例えば仲良し4人組で、自分以外の3人がスマホを持っている場合、自分だけ話題について行けなくなる。10代に流行しているコミュニケーションアプリの「LINE」を通じたやり取りでいろんなことが決まっていくようになると、同調圧力の強い小学生にとっては死活問題である。

 何度も親に懇願する場合が多いが、時には泣いたり、わめいたりする場合もある。親がダメと見るや、おじいちゃんやおばあちゃんに頼むことも多い。携帯電話ショップでは、孫を連れた祖母とおぼしき2人組をよく見かける。連載で以前にも書いたが、「LINEができたら通話が無料になって、結局は得になる」などという言葉に乗せられる場合が多いようだ。地域によっては、「結局は得」に反応してしまう保護者が多いところもあると筆者はみている。

 スマホの購入が無理な場合は、次善の策としてiPod touchなどの音楽プレーヤーを購入する。無線LANを使って通信し、スマホと同等のアプリを使って友達と交流している。