国内IT大手4社の2013年4~6月期連結決算が出揃った()。アベノミクスなどの影響で国内企業のIT投資意欲が回復し、各社ともITサービス部門が増収を果たした。一方、スマートフォン事業や不採算案件の管理などが、業績回復の重荷となった。

表●日立製作所、富士通、NEC、NTTデータの2013年4~6月期連結業績
表●日立製作所、富士通、NEC、NTTデータの2013年4~6月期連結業績
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 4社の中で堅調だったのが日立製作所だ。情報・通信システム部門の売上高は前年同期比5.2%増の3910億円で、営業損益もほぼトントンに回復した。ITサービスが好調で、通信ネットワークやサーバーの減収をカバーした。

 富士通もIT投資回復の追い風を受けた。主力のテクノロジーソリューションは、売上高が前年同期比8.0%増の6775億円、営業損益は25億円の黒字に転換した。加藤和彦CFO(最高財務責任者)は決算会見で、「テクノロジーソリューションでは、第1四半期の国内受注が過去10年で最高の水準」と強調。今後3年間は大型商談が相次ぎ「SIビジネスは高水準が継続する」(同)と強気の見通しを示した。

 同社の足を引っ張ったのが、スマホの低迷だ。「携帯電話の売り上げが前年同期比30%減少」(加藤CFO)し、PCも10%落ち込んだ。結果、ユビキタスソリューションセグメントが171億円の営業赤字を計上、連結の営業損益も赤字に終わった。

 スマホに苦しめられたのは、富士通だけではない。

 NECは7月31日、赤字が続くスマホ事業から撤退すると発表した。「4~6月期の携帯電話出荷台数は45万台と、前年同期の80万台から減少」(川島勇CFO)し、赤字が拡大。以前から進めていた中国レノボ・グループとの提携交渉が不調に終わったこともあり、単独での事業展開を断念した。従来型携帯電話については生産を継続する。

 だがNECも官公庁や流通向けのITサービスは好調。4~6月期の連結売上高は前年同期比で1.4%増えた。赤字のスマホに見切りをつけて、成長分野と位置づける「社会ソリューション事業」に経営資源を集中する計画だ。

 NTTデータは不採算案件が頭痛の種になった。売上高は前年同期比0.1%増の2941億円だったが、営業利益は同61.6%減の51億円となった。エンタープライズ分野における複数の新規案件で、「経験不足により顧客との仕様の認識違いが顕在化。スケジュールの延期により、追加コストが発生した」と萩野善教副社長は話す。プロジェクト管理を厳格化して、コスト抑制に努める。