「2本足でトコトコ歩ける」「ペンをつかんでキーボードを打てる」。手足と首、腰に12個のサーボモーターを持つ本格的なロボットキット「RAPIRO」が3万円台で登場する。別売りのRaspberry Piを頭に組み込み、自由にプログラミングして動かせる。スマホなどから遠隔制御することも可能だ。
Raspberry PiロボットのRAPIROは、インターネットで一般から支援を募るクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で6月20日に公募をスタート。わずか2日足らずで、目標の約300万円(2万ポンド)を突破し、その後も支援金額は伸びている。RAPIROを開発した機楽は、受けた支援を基に製造して、2013年12月に出荷を開始する予定だ。「何とかクリスマスまでに届けたい」(機楽 代表取締役 石渡昌太氏)という。
Kickstarterでの支援は「RAPIRO: The Humanoid Robot Kit for your Raspberry Pi by Shota Ishiwatari ― Kickstarter」で2013年8月19日まで受け付けている(RAPIROが動く動画も見られる)。ここで229ポンド(約3万5000円)を支援すれば、RAPIROを1台送ってもらえる。あくまで支援なので無事生産が始まった場合に限られるが、言わばキャンペーン価格で予約購入ができる。正式価格は3万9800円の予定である。
Arduino互換ボードで動きを制御
RAPIROは、手に3個×2、足に2個×2、首と腰に1個のサーボモーターを備える。サーボモーターはRAPIRO用に新たに作ったものだ。これで2本足で歩き、ペンやコーヒーカップを手でつかめる(写真1)。目には3色LEDを装着し、目の色も変えられる。
RAPIROは、RAspberry PI RObotの略。別売りの格安Linuxボード「Raspberry Pi」を頭部の中に装着して動かす(写真2)。Raspberry Pi財団が最近発売したカメラモジュールも頭部の裏側に取り付け、写真や動画をとったりできる。
サーボモーターやLEDは、Arduino互換マイコンボードで制御する。Raspberry PiとはUART(シリアル通信)などでつなぐ。Arduino側に、「前進」「後退」「左/右回転」など基本的な動きをするライブラリを用意し、Raspberry Piから簡単にコマンドで制御できるようにする計画である。もちろんArduinoとRaspberry Piの両方でプログラムを自作して、個々のモーターの角度など細かい制御もできる。
マイクやスピーカー、赤外線(PSD)距離センサーも装着できるようになっている(どれも別売り)。開発するプログラム次第で、会話ができたり、ルンバのように部屋の中を動き回ったりするロボットになるのだ。
Raspberry Piが備えるUSBポートとLANポートは、頭部裏の穴からアクセスできる。Wi-FiやBluetoothのドングルを挿せば無線通信に対応でき、スマートフォンから遠隔制御したりできる。
本体に格納する4個の単3乾電池で動作する。リチウムイオン充電電池(18650)2本でも動作するが、発火の恐れもあるので初心者には乾電池がお薦めだという。
RAPIROを開発した石渡昌太氏は、脳波をキャッチして動く猫耳「necomimi」を開発したことでも著名な技術者。今回のRAPIROも、とても魅力的なデザインだ。キットの組み立てにはんだ付けは要らず、ドライバーだけあればよいという。アイデアさえあれば、手軽に自分だけのロボットを作れそうだ。