“攻め”の投資となるのが、内線電話システムの刷新を機にワークスタイルの変革に踏み切るケースだ。今回は、携帯電話を中心とする内線電話システムに更新した企業としてUDトラックス(旧日産ディーゼル工業)、ミツカングループ、JSOLの3社。ソフトフォンを中心に置いた企業としてインテル、クオリカ、日本航空(JAL)の3社をそれぞれ取り上げる。

 まずは携帯電話をメインの内線電話端末として使う3社の例からポイントを紹介しよう(図1)。導入形態は企業によって異なるが、典型的なのは次のようなものだ。社員一人ひとりに携帯電話を配布し、この端末を内線端末として使う。その中で「内線ワンナンバー型FMCサービスを採用するのは半々くらい」(ソフトバンクテレコムの石井基章営業開発本部FMCソリューション第1部部長)という。今回紹介する事例では、UDトラックスとミツカングループが利用するが、JSOLは採用していない。

図1●携帯電話を“標準”の内線電話機にする
図1●携帯電話を“標準”の内線電話機にする
モバイルワーカーの多い業種に向く。携帯電話を法人契約済みで、対外的にも携帯電話番号を公開している企業ならスムーズに移行できる。
[画像のクリックで拡大表示]

 固定電話は部門に1台など最低限に絞る。ただしどの程度まで、どうやって絞り込むかは企業によって異なる。UDトラックスは部門代表も携帯電話に置き換え、JSOLは部門代表電話そのものを廃止した。ミツカングループは従来の代表電話などの構成には大きくを手を入れず、社員個人の内線端末を携帯電話に置き換えた。

 代表電話の着信方法も企業ごとにポリシーがある。UDトラックスは個人端末の操作で、代表電話を取れるようにしている。ミツカングループは個人端末の携帯電話では代表電話を取らず、固定電話で取って必要に応じて携帯電話に転送する。JSOLはそもそも代表電話がない。

 このように企業によって導入形態は異なるが、ワークスタイルとして個人対個人のコミュニケーションを重視する点は共通する。3社とも早くから携帯電話を法人契約して、社員に配布していた。その結果、携帯電話の存在を前提としたワークスタイルに変わりつつあった。固定電話の撤廃で、このワークスタイルをさらに進めていく格好だ。