それぞれの国や地域におけるICTの進化度を探るには、インフラや端末などの普及や活用レベルが大きな手掛かりになる。ICTに積極的な姿勢があれば、さらに環境を整備するなど今後とも注力していくと判断してよいはずだ。
今回は、カンボジアの首都であるプノンペンでスマートフォンを活用して、無線インフラの状況を自ら試した結果を報告する。
空港でのWi-Fi接続の容易さに驚く
その国の無線インフラを試そうとすると、まず首都の中心で行う例が多いだろう。だが、降り立ったばかりの空港で操作してみると、結果がすぐ明確になることがある。
実際、プノンペン国際空港に降り立ち、早速に筆者が驚いたのは、Wi-Fi接続の容易さだったからだ。無料でパスワードなしですぐに使え、通信環境も良好だった。空港の施設内ならどこでも使えるのではないかと思った(写真1)。
タイのバンコクにあるスワンナプーム国際空港にも無料のWi-Fiサービスはある。しかし、インフォメーションカウンターでIDとパスワードをもらわないと使えないなど、面倒だった印象があった。到着ロビーや出発ゲートの一部では、通信できなかったこともある。両空港の大きさに違いがあるとはいえ、到着から出発まで空港内のどこでも使えるプノンペン国際空港は十分な環境にあるといえる。到着後、すぐにメールやSNSをチェックできる点は、訪れたビジネスパーソンにも心強いのではないか。
空港で次に驚いたのが、立ち並ぶ携帯SIMの売店だった。カンボジアではCellcardやMetfone、Helloなど現在は8社ほどの携帯キャリアがあり、しのぎを削っているという。購入してみると、SIMと通話料合わせて10ドルのパッケージ価格の製品もあった。東京への国際電話も約1時間の通話が可能という。キャリアごとに料金は異なるようだが、それにしても安いと思った。自分の携帯電話で日本にかけるよりも、断然メリットがあるはずだ(写真2、写真3)。
現地に滞在した期間中、これで日本に国際電話をかけたり、カンボジアの国内通話にも利用したりしたが、使い切らずに余らせてしまった。面白いのは、国際電話も国内通話も同じ料金レートだったこと。ただし国際電話をかける場合は通常の手順でなく、このキャリアの専用番号を頭につけることが条件。普通にかけると10ドルはすぐなくなると念を押された。