第2回第3回でソーシャルリスニングの6つのステップのうち、5番目まで説明しました。今回は最後の6つめです。

STEP6:仮説に基づき深掘りする

 STEP6では、実際のツイートの中身を詳細に分析し、STEP5で立てた仮説を検証しつつ、分析結果をまとめていきます。なお、検証を進めた結果、仮説が間違っていた場合にはストーリーも含めて見直しをすることになります。しかし、経験を積むことで、最初に立てた仮説の精度は高まりますので、大幅なストーリーの見直しは起こりにくくなります。

 ツイート内容の掘り下げは、大きく分けて2つのアプローチがあります。1つは「言葉と向き合う」方法。もう1つは「仮説と向き合う方法」です。

 前者は仮説が曖昧な状況で、より深く事実を知るために用います。ソーシャルリスニングの場合、扱うデータが定性的なため、この方法でも仮説検証できるケースがあります。

 一方、後者は掘り下げてみたいポイントに、十分に当たりがついている場合に使います。一般的に定量データなどの別の分析結果や、過去の同様の調査や分析によって、仮説の精度が担保されている場合には、後者のアプローチが適しているといえるでしょう。

「言葉」と向き合う

 それでは2つのアプローチを順に詳しく見ていきます。

(1)言葉の「用法」を掘り下げる

 これは一番シンプルな方法です。急に増加した言葉や急にある言葉と一緒につぶやかれる比率が上昇した言葉について、素直に掘り下げることで、なぜ増えたのかを見極めます。

 例えば、2013年の抱負についてのTwitterのハッシュタグ「#抱負2013」についての分析を見てみます。抱負に使われる言葉には「頑張る」「痩せる」「リア充(実生活の充実)」などが多いことが分かります。これらの「多い言葉」を概況で評価したうえで、個別の言葉を素直に掘り下げてみます。

 そのなかで「頑張る」という言葉の使われ方を見ていくと、「勉強」「就活」「受験」「仕事」といったような言葉が具体的に浮かび上がってきます。

 また「リア充」という言葉を掘り下げてみると、(当たり前ですが)「リア充になる」という人が非常に多いことが分かります。一方で「これまで通り、リア充でいく」という人や、「リア充を倒す」という野望に燃える人などもいることが分かります(図1)。

図1●2013年の抱負の声。「リア充」になるべきか否か<br>思いのほか、「リア充になる!」という目標を掲げる人が多い。そんな中、「リア充を倒す」「既にリア充」などの少数派もチラホラ。
図1●2013年の抱負の声。「リア充」になるべきか否か
思いのほか、「リア充になる!」という目標を掲げる人が多い。そんななか、「リア充を倒す」「既にリア充」などの少数派もチラホラ。
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 このように、言葉の用法を掘り下げていくことで、少数派の生の声に近づくことができるのが面白さの1つといえるでしょう。