第1回では、ソーシャルリスニングの概要を説明しました。今回からは実際にソーシャルリスニングを進めていくための手順を見ていきます。

 ギックスでは、ソーシャルリスニングのアプローチを図1に示す6つのステップで定義しています。

図1●ソーシャルリスニングの6つのステップ
図1●ソーシャルリスニングの6つのステップ
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 当社はこの6つのステップを「GTメソッド(GiXo-Tanakaメソッド)」と呼んでいます。ソーシャルリスニングのレポート作成では、必ずこの手順を踏むことにしています。それでは、各ステップの中身を具体的に見ていきましょう。

STEP1:何を分析するのか決定する

 最初に、自分が「何を知りたいのか」を整理します。「ソーシャルメディアで何が分かるのか」ではなく、「どういうことが分かったら、うれしいか」が重要です。つまり、目的です。

 仮にこの時点で「知りたいことがソーシャルメディアの声を分析しても全く分かりそうにない」のであれば、別の方法(例えばグループインタビューやアンケート調査など)で実行すればよいわけです。無理にソーシャルリスニングで解決する必要はありません。話題の手法が最善の策とは限りません。

 知りたいことは例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 自社の主力商品と競合の主力商品の売り上げは拮抗しているが、はたして誰が買っているのか
  • デジタルカメラ市場とスマートフォン(の付属カメラ)市場はかなり重なっていると思うが、ユーザーはどう使い分けているのか
  • 先日発表した新商品は、ちゃんと話題になっているのか
  • 新しく起用したCMキャラクターは、自社のイメージを損なっていないか
  • テレビドラマの新シリーズは視聴者への訴求ポイントを前作と変えたが、それがきちんと伝わっているか

STEP2:対象となる母集団を定義する

 知りたいことが明確になれば、そのために何を調べるべきかを考えられます。

 ソーシャルリスニングはアンケート調査やインタビューと違って、(分析の視点から見ると)必要のない情報がたくさん含まれた「雑多なテキスト情報」を扱うことになります。そのため、できるだけ「知りたいことに関することを十分に含みつつ」、一方で「関係ないことはあまり含まれていない」という分析の母集団を決めることがとても重要になります。