ものづくりを志向するハードウエアベンチャーが話題だ。安価な3Dプリンターや3Dプリント出力サービスの登場がその背景の一つとして注目を集めている。

 だが、3Dプリンター関連と並び、ハードウエアベンチャーを支える忘れてはならない存在が、マイコンボードやフィジカルコンピューティングキットといった電子回路だ。フィジカルコンピューティングとは、簡単に言えばコンピュータの入出力を外部に拡張してコンピュータの可能性をさらに広げること。スマートフォンと連携するハードウエアもこうしたキットを利用して試作・自作できる時代になっている。

 米国発の“メイカーズムーブメント”だが、元々“ものづくり大国”の日本にはこうしたムーブメントはなじみやすく、ものづくり指向のベンチャーが集うカンファレンスも国内で続々と開催されている。おしゃべりな人を黙らせる装置「SpeechJammer」の共同開発者である公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科の塚田浩二准教授は、そうした場に出展しているメーカーは大きく4つに分類できるという。(1)電子工作系の趣味人が作っているメーカー、(2)いわゆる企業展示に当たる“本物”のメーカー、(3)クラフト系、(4)そしてそれ以外(例えばライフハック系)だ。

 この中で主に(1)および(2)は直接マイコンボードやフィジカルコンピューティングキットと関係するが、(3)や(4)から出たアイデアをうまくコンピュータと結び付けて具現化するといった役割もこうしたボード類が担う。ハードウエアのエンジニアだけでなく、プログラマーやデザイナー、プランナーなど多様な人を結びつけてアイデアを具現化するために、これらが使われるのだ。