米国で「フォーチュン500」にランクインすることは、単に総売上高が全米上位500社の中に入る以上に大きな意味を持っている。その企業が自他ともに認める大企業であることを意味するだけでなく、一種の特殊なステータスを持つようになったといえるだろう。

 そのステータスは例えば「フォーチュン500企業の××%の企業が、◯◯を導入しています」という宣伝文句からもうかがい知れる。フォーチュン500企業を対象とした調査は、全米の「大企業」というだけではなく、米国全体のビジネスの傾向や方向性を推し量るケースが多く見受けられる。ちなみにフェイスブック社も2013年5月に、フォーチュン500に初めてランクイン(482位)した。

 今回はフォーチュン500を対象に、米国のマサチューセッツ大学ダートマス校が実施した調査とその結果を踏まえながら、大企業のソーシャルメディアの活用の「今」を考えてみようと思う。

 調査結果は、“2013 Fortune 500 Are Bullish on Social Media:Big Company Get Excited About Google+, Instagram, Foursquare and Pinterest”という論文に記された。タイトルからもわかる通り、2013年のフォーチュン500企業のソーシャルメディア利用は上昇傾向にあり、Google+、Instagram、FoursquareそしてPinterestが注目を集めているといわれている。

 同校がフォーチュン500企業を対象にソーシャルメディアの利用状況を調査し始めたのは2008年のこと。当時はこれら大企業はソーシャルメディアを積極的に活用しておらず、2011年を過ぎたあたりから徐々に利活用する企業が増えてきた。

 企業公式ブログを例にとると、2011年の時点ではフォーチュン500企業の23%しかブログを開設していなかった。それが2012年には28%、2013年は34%と着々と増加してきた。

 大企業において多く活用されているのはTwitterとFacebook、YouTubeの3つのSNS。これらは約70%の企業がアカウントを保持し活用しており、しかも前年よりもその割合は増加している。

 Twitterの場合で見ると、フォーチュン500企業の上位10社のうち8社がTwitterアカウントを保持し、アクティブにコミュニケーションを取っている。こうした例で代表されるように、ランク上位に位置する企業ほど、より積極的な活用が見られる傾向にある。

 Facebookに関しても同様の傾向を見せている。フォーチュン500企業上位10社のうち、9社がFacebookページを保持しており、アクティブに活用している。Twitterと同じように、こちらもランク上位に位置する企業の活用が目立っている。恐らくは大企業にとって、運営にある程度のコストないしリソースを配分することが比較的容易である点が、こういった数字につながっているのではないかと推測できる。