Office 2003がここまで使われ続けてきたのは、2007で大きく変わったユーザーインタフェースによるところが大きい。つまり「リボンUI」だ。そこに多くの現場が拒絶反応を示した。
ビジネスの現場において、ExcelやWordが必須のアプリケーションとして使われるようになってから変わることがなかったメニューバーとツールバーによる操作体系を、はい、そうですかとは変えることができなかったのだろう。
同様の理由で、新たにモダンUIが加わり、スタートボタン等のGUIにも大きくメスがはいったWindows 8への移行にも食指が動かず、多くの企業ユーザーは、XPからの引っ越し先としてWindows 7を選ぶという。Windows 7は最後のWindows XPライクなWindowsだから、というわけだ。
BYODで明確になるユーザーが求めるものと業務システムの落差
ただ、Windows 8(または8.1)と、最新のOffice 2013の整合性は、当たり前の話だがとてもいい。OS環境の中でアプリを使う際に、そこで感じる違和感がほとんどないのはうれしい。
そして、日本という地域は、Officeをプリインストールした市販パソコンの割合が、きわめて高いという点でも特殊な地域だといえる。
ビジネスの現場で働くエンドユーザーは、自宅に戻れば一般的な普通のユーザーであり、当然、自宅にもパソコンの1台や2台はある。この冬には新しいパソコンに買い替えようかと思っているユーザーもいるだろう。加えて、これからはBYODの時代になり、セキュリティを確保した上で、自宅で会社の仕事をしたり、私物デバイスを会社に持ち込むようなスタイルが強く求められるようになるだろう。
そのときにエンドユーザーが日常的に使っているのは、ほぼ間違いなく最新の環境であり、企業のシステム管理者が頑なに守り続けてきた旧来の環境ではない。その違いは仕事の効率にも影響しかねない。しかも、セキュリティやサポートの事情から、ユーザー自身の工夫で効率を上げるということが否定されてきたのが、これまでのビジネスの現場だ。ユーザーのためと思って懸命に守ってきたものを、実はユーザーは求めていなかったという可能性だってあることを、少しは考える必要があるのかもしれない。
Windows XP終了まであと35週。
フリーランスライター