「そこから先はブラックボックス?それでは困るなあ。最後の最後まで分解して、どうなっているかを理解しないと不安で使えない」。

 「ブラックボックスは気持ち悪い」というセンスを持つ人がいる。ハードウエアを見ると分解したくなる人であり、ソフトウエアに接するとソースコードを読みたくなる人である。

 彼らはブラックボックスをすぐには信じない。疑い深いというより、徹底したリアリストと呼ぶべきだろう。それ以上分解できない部品を一つひとつ確認して、そのハードウエアの実力を理解する。ソースコードを読むことで、そのソフトウエアの品質やロジックの良し悪しを判断する。

 現場重視の姿勢を徹底し、具体的な事を追求し続けると、こうした境地に到達する。ハードウエアやソフトウエアをつくる現場のエンジニアが全員そうなる必要はないが、全員が何の疑いもなくブラックボックスを採用するようでは危険である。

 とことん現場を極めた人は、経営やマネジメントをする側にまわっても、ブラックボックス嫌いのセンスを生かすことができる。仕事の本質が分かっているので、管理すべき点が体で分かるからだ。

 逆に、経営やマネジメント、たとえば製品・サービス開発責任者をする人は、こうした「細部への視点」も持つ必要がある。

 一度も失敗したことがないと語った、あるプロジェクトマネジャは「時間ができると開発現場に行って、設計書を借りて読んだり、出来上がったソースを借りてデバッグしたりしていました」と話していた。

 細部への視点を持つために参考になるプロフェッショナル12人の発言を紹介する。

 まずはプログラミングに良い意味でこだわっている方々である(「ソフトを開発する動機は“怒り”」~Jenkins開発者の川口氏「プログラミングは世界のどこにいてもできる」~スーパークリエーターの酒徳氏「名刺代わりになるプロジェクトを作りたい」~プログラマーの増井氏「スマホはパーソナルサーバーに」~ジークスの渡辺社長)。

 システム開発や運用の現場経験を経て、経営者になった方々もいる(「通販はサイエンスです」~千趣会の田邉社長「自分の未来に投資する時間を」~カブドットコムの齋藤社長「どんなクレームが来ても応えた」~服部照久・スリーセブンワークスの服部代表取締役)。

 データ利用、ネットワーク技術開発、プレゼンテーション、まったく別々の仕事だが、細部の細部まで見極めて考え、行動する姿勢には共通点がある(「データが語り、予測は当たる」~花王の大路氏「大胆な発想のネットワーク技術が必要」~東京大学の中尾准教授「プレゼンとデモはクールにセクシーに」~日本マイクロソフトの西脇エバンジェリスト)。

 ハードウエアについても、もちろん細部が大事である(「異常に細かいのにびっくり」~イメージセンサー開発者の野本氏「リビングにオーディオを復権したい」~東和電子の山本社長「パーツの買い過ぎに家族もあきれ顔」~元衆議院議員の与謝野氏)。

我らプロフェッショナル 世界を元気にする100人

大路延憲氏

大路延憲氏
花王情報システム部門統括付部長

「データが語り、予測は当たる」


川口耕介氏

川口耕介氏
CIツール「Jenkins」開発者

「ソフトを開発する動機は“怒り”」


齋藤正勝氏

齋藤正勝氏
カブドットコム証券代表執行役社長

「1日30分、自分の未来に投資する時間をとろう」


酒徳峰章(クジラ飛行机)氏

酒徳峰章(クジラ飛行机)氏
スーパークリエーター

「プログラミングは世界のどこにいてもできる」


田邉道夫氏

田邉道夫氏
千趣会社長

「通販はサイエンスです」


中尾彰宏氏

中尾彰宏氏
東京大学大学院情報学環 東京大学准教授

「IPの延長ではない、大胆な発想のネットワーク技術が必要」


西脇資哲氏

西脇資哲氏
日本マイクロソフト エバンジェリスト

「プレゼンとデモはクールにセクシーに」


野本哲夫氏

野本哲夫氏
イメージセンサー開発者

「異常に細かいのにびっくり」


服部照久氏

服部照久氏
スリーセブンワークス代表取締役

「ITのトラブルで人は死なない。どんなクレームが来ても応えた」


増井雄一郎氏

増井雄一郎氏
プログラマー

「自分の名刺代わりになるプロジェクトを作りたい」


山本喜則氏

山本喜則氏
東和電子社長

「デジタル技術でリビングにオーディオを復権したい」


与謝野馨氏

与謝野馨氏
元衆議院議員

「PCパーツの買い過ぎに家族もあきれ顔」


渡辺浩氏

渡辺浩氏
ジークス代表取締役社長

「スマホはパーソナルサーバーになる」

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