津田塾大学 女性研究者支援センターは、次世代の女性研究者の育成という観点から、「女子中高生のための情報・メディア工房」と呼ぶ1日体験イベントを毎年夏に開催している。これはIT企業訪問とワークショップを組み合わせた内容で、ワークショップではScratch(スクラッチ)を用いたプログラミングなどを体験できる。イベントを担当する杉浦氏と吉田氏に活動内容などについて聞いた。

女性研究者支援センターの役割を教えてください。

写真1●津田塾大学 女性研究者支援センター 客員研究員 山梨英和大学 専任講師の杉浦 学氏
写真1●津田塾大学 女性研究者支援センター 客員研究員 山梨英和大学 専任講師の杉浦 学氏
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杉浦氏 大きな目的は、名称の通り、女性研究者の支援です。ここでいう女性研究者は、現役で活動されている大学の教員だったり、企業の研究所に勤めている研究員だったりを指します。こうした今活躍している人々の支援に加えて、将来理系の女性研究者になる人材を育成していくのも大事な目的です。女性研究者のすそ野を広げていこうとしています。

 「すそ野を広げる」となると様々な取り組みが考えられますが、その一つとしてプログラミングの楽しさ、面白さ、そして将来どのように役に立つのか、実際の仕事はどのようなものなのか、を女子中高生の皆さんに伝えたいと考えています。このため、「女子中高生のための情報・メディア工房」というイベントを毎年8月に実施しています。このイベントを通じて、女子中高生にプログラミングを体験してもらうことにより、情報・メディア分野の進路選択を支援し、将来的に関連した分野の女性研究者を増やしていきたいという、少し息の長い取り組みです。

「女子中高生のための情報・メディア工房」(以下、情報・メディア工房)はどのような内容ですか。

杉浦氏 今年は、8月26日と8月29日に実施します。いずれも、午前中にIT企業を訪問、午後にプログラミングを体験できるワークショップを実施します。8/26と8/29の各回に約15名の女子中高生が参加する予定です。

 8/26のイベントではソフトバンク本社を見学します。8/29には楽天本社を見学する予定です。ワークショップの内容は両日とも一緒です。今回は、モーションセンサー(Kinect)とScratchを使い、ジェスチャーを使ったゲーム作成などを体験してもらう予定です。

 情報・メディア工房が、IT企業の訪問とワークショップの組み合わせた形態になったのは2011年からで、今年で3回目になります。

IT企業の女性社員との交流が魅力に

企業の見学とワークショップという組み合わせは、どのような意図からですか。

杉浦氏 プログラミングを体験できるワークショップは、2011年以前から実施していました。プログラミングを体験すると、大体の参加者は「楽しい」「自分でも意外にできる」という感想を持ちます。これはとても良いことですが、「プログラミングは面白かった」だけで終わってほしくありません。プログラミングを大学などで継続して学んだ後、社会に出たときにどのようなキャリアがあるのかをきちんと知ってほしいのです。