小学生向けプログラミング教育事業に特化して2013年5月末に設立されたのがCA Tech Kidsである。同社は、サイバーエージェントとライフイズテックが合弁で、IT人材の早期育成を目的にして設立した教育系スタートアップだ。その社長を務める上野 朝大氏に設立の狙いや事業展開などを聞いた。

小学生を対象にプログラミング教育事業を始めた理由を教えてください。

写真1●CA Tech Kids社長の上野 朝大氏
写真1●CA Tech Kids社長の上野 朝大氏
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 設立の背景としては、IT教育への関心の高まりがあります。CA Tech Kidsの親会社であるサイバーエージェントの藤田(藤田 晋社長)が参加している新経済連盟は、代表理事の三木谷氏(三木谷浩史・楽天会長兼社長)が中心となって、子どもへのプログラミング教育を推し進めるべきと主張しています。

 サイバーエージェントとしてこの主張に賛同するとともに、社会性のある事業にも力を入れたいということで、今年4月ごろから検討を始め、5月31日に設立しました。この下地として、中高生向けのIT教育事業を手がけるライフイズテックとの関係があります。以前から、ワークショップなどで講師を補助する大学生メンターの採用活動などでサイバーエージェントはライフイズテックに協力していました。ライフイズテックにも中高生だけでなく小学生向けのニーズが寄せられることもあり、サイバーエージェントとライフイズテックで小学生向けプログラミング教育を一緒にやってみようとなったのです。株式比率は、サイバーエージェントが65%、ライフイズテックが35%です。

入社4年目の上野さんが社長になられた経緯は?

 サイバーエージェントには多くの子会社があります。それらの設立は、大きく2パターンに分類できます。一つは自分でこの事業をやりたいといって子会社化が認められるパターン。もう一つは子会社を作るときに事業責任者を任命するパターンで、私の場合は後者です。社会的に意義のある事業を手がけたいと前から考えていたこともあり、小学生向けプログラミング教育事業の責任者として声がかかったという次第です。

設立後の事業展開を教えてください。

 現在の事業の柱は、小学生のためのプログラミング入門キャンプの「Tech Kids CAMP」です。1日あるいは3日間をかけて、iPhoneアプリの開発やゲームデザインなどを教えます。

写真2●1日無料体験会の様子
写真2●1日無料体験会の様子
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 「キャンプ」という形態を取っているのは、ライフイズテックが培ってきた運営ノウハウを活かすためです。短期間で事業を立ち上げるために、ライフイズテックがもっとも注力している中高生向けのITキャンプの実績を取り入れる形で事業展開しています。もちろん、プログラム内容については、小学生向けにカスタマイズをしています。数回実施した1日無料体験会(関連記事写真2)などのフィードバックを反映して内容を随時カスタマイズしています。今後は需要の拡大に応じて、キャンプ以外の形態での展開も視野に入れています。

キャンプや無料体験会の手ごたえは?

 1日体験会、3日間の有料キャンプともに、引き合いが非常に強くて驚いています。1日体験会は公開してから5日ほどで全日程が満席になりました。3日間の有料キャンプもすぐに埋まってしまい、日程を追加したほどです。