「宙(そら)ガール」支え、社内ヘルプデスクからBCPの立案まで担う 

ビクセン 湊実・総合管理室課長

2013/08/21
大豆生田 崇志=日経情報ストラテジー (筆者執筆記事一覧
写真●ビクセン総合管理室の湊実(みなと・みのる)課長
写真●ビクセン総合管理室の湊実(みなと・みのる)課長
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 宇宙に興味がある女性を増やそうと「宙(そら)ガール」向けの天体望遠鏡や双眼鏡、星座早見表などを手掛ける総合光学機器製造・販売のビクセン(埼玉・所沢)。「夏が暑くなると天文観測機器の需要が増える」と話すのは、CIO(最高情報責任者)を担う総合管理室の湊実(みなと・みのる)課長だ。

 もともと大手電機メーカーのSEとして、顧客企業に常駐してシステム構築などをしていた。2006年に実家に近いといった理由で、社長の誘いをきっかけに転職。だが天文知識は全くなく、会社裏の駐車場で社内天文部が開催した観測会で、初めて月面や土星の輪を見て感動したという。

 天文ファンの誰もが知るだけに大きな会社と思われがちだが、実はビクセンの社員数は80人ほど。所属する総合管理室は計3人で、取締役会と社内の各部署を間を結ぶ「コンピュータでいうとハブルーター」だ。

 湊課長はただ1人のシステム担当者で、残り2人は商品企画やホームページなどを担当。社員数が少ない分、誰もが複数業務を兼任。湊課長も社内パソコンのヘルプデスクから、基幹系や情報系システムの構築、BCP(事業継続計画)の立案までも担う。

 着任してすぐに、17台ほど稼働していたウィンドウズ系サーバーをブレード4枚に集約。蓄積してきた情報資産を経営資源として継承できるように、2008年から販売管理などを担う基幹システムを刷新した。要望が多くて柔軟に対応するには手の届くところに置く必要があるとして、システム開発会社の力を借りて、IBMのPower Systems(パワーシステムズ)を導入。IBMに注目され、講演にも呼ばれた。

 それまでの基幹システムは、パッケージソフトが動くウィンドウズ系システムだった。だがカスタマイズやバージョンアップのたびに費用が発生。身の丈に合わないものはやめて業務端末は必要な情報だけで動けばいいと判断し、緑色の文字ベースで構成された画面でマウスを使わずファンクションキーを活用するシステムにした。当初は古いシステムのようだといわれたが、画面展開は圧倒的に早くなった。

 基幹システムの開発には、まず1年ほどかけてIBMのテンプレートを使ってソースを入れてカスタマイズなどをした。2年目から、比率の高い海外売り上げを支える貿易システムを全て作り込みした。他に例がなかったからだ。現在は業務上のトラブルはほぼない。導入時こそコストはかかったものの、年間保守料だけでも120万円ほど削減。「業務効率を考えるとメリットが出ている」と話す。

 パワーシステムズは多言語に対応しているため、将来ドイツや米国など世界各地にある代理店とEDI(電子データ交換)を始めることも視野に、各地の言語で業務をできるようにした。2013年7月から生産管理システムもパワーシステムで作り、2014年春ごろにテスト稼働する予定だ。

 その一方で、ある程度決まったスケジュール管理、給与や人事管理は現在のシステムに乗せる必要はないと判断。早くからクラウドのサービスを活用している。

 湊課長はシステムだけではなくBCPやプライバシーなど個人情報の責任者でもある。経営者からは万が一の災害時にどのくらい早く復旧できるかBCP対策を求められる。ビクセンの国内拠点は1カ所だが、「食料の備蓄だけでなく情報の備蓄もして稼働させていく」と話す。

 経営層の要望に応えていくには、マネジメントやコスト意識、今後の経営課題を踏まえ、システム管理者にとどまらないスキルチェンジも必要と話す。コミュニケーションスキルが高い人員を増やす必要もある。

 ビクセンにはアウトドア好きの社員が多く、登山部やキャンプ部などもある。アウトドアメーカーとのコラボレーションによる商品企画など提案型の営業展開も増やしている。社長も登山好きで、富士山の山小屋に双眼鏡を無料で貸し出すため、総合管理室の商品企画担当者と営業部の登山スペシャリストの計3人で富士山に登ったという。

 2012年5月の金環日食に続き、2013年11月には月ほどの明るさになるといわれるアイソン彗星による壮大な天体ショーへの期待が集まる。宙ガールを増やすための一人だけの縁の下の役割はしばらく続きそうだ。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大にしていること
・ 経営層のビジョンにあったシステムを組む必要があるため、どんなシステムを望んでいるのか先を読みながら話し合う。自分が考えるシステムや3年後はこうしたいなど、ビジョンなどと紐付けた話をする。
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・上司や経営層が何が考えているか、経済誌のプレジデントなどを定期購読。日経各誌もたまに買う。セミナーや研修にはなかなか行けないため、なるべく日経やIBMなどのメールマガジンを登録して申し込み、事例を探す。事例があるインターネットサイトをよく見る。必要あればホワイトペーパーも入手。なかには知りたい事例のある会社に直接電話して「どうしているのか」と聞くと親切に教えてくれる。
◆ストレス解消法
・自転車。社内外のメンバーが集まった自転車部があり、2013年6月に立山黒部アルペンルート『美女平 天空ロード』を自転車で駆け抜けるヒルクライム大会に出場。5月には筑波サーキットでチーム4人が8時間で何周できるか競う8時間耐久レースにも参加した。
◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・価格だけでなく、要求に対して親身に成果を出してくれるところが一番。「ここをこうするともっといい」という提案をしてくれるベンダーとつきあいができている。

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