写真●2003年10月に発売したOffice 2003のパッケージ
写真●2003年10月に発売したOffice 2003のパッケージ
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 Windows XPのサポート終了は大きな話題になっているが、同時にOffice 2003のサポートも終了する。この製品は、インフォメーションワーカーのための統合ビジネススウィートと称し、The Microsoft Office Systemとして登場した。単なるアプリケーションとしてではなく、サービスやサーバー製品などを含んだ製品群だった。

 このバージョンで最も大きく変わったOfficeアプリはOutlookで、Exhchangeをインフラとして使っている企業では、今なお、このバージョンのOutlookに依存しているケースは少なくないのではないだろうか。閲覧ウィンドウのレイアウトや、ナビゲーションウィンドウの新設、また、検索フォルダ機能など、現在のOutlookの原型がここにあるといってもいい。

Offoce 2003と2007のUIの変更に迷う

 しかも、Office 2003の後継であるOffice 2007では操作環境に大きなメスが入った。従来のメニューバーとツールバー上のボタンというユーザーインターフェースに対して「リボン」と呼ばれる操作体系が採用されたのだ。あまりにも大きなルック&フィールの変更に、エンドユーザーがとまどうのは確実で、それを回避するには再教育と手厚いサポートが必要になる。

 さらに、Office 2007ではOffice 97以来変更がなかったファイルのデータ形式が変更された。例えば、かつてのExcelファイルは .xls拡張子だったが、Office 2007では .xlsx となっている。もちろん、オプションで旧ファイル形式を使い続けることもできたが、多くの企業ユーザーは、Office 2003にとどまる方針を選んだ。

 そして次がOffice 2010。Office 2007への積極的な移行があまり進まなかったからなのか、Office 2007のService Pack 3的な位置づけで世に出ている。数々の新機能は追加されているものの、利用に必要なハードウェア要件などは2007とまるで変わっていない。このバージョンでようやく重い腰を上げ、2003から2010へと移行することを決断した企業ユーザーも多いはずだ。結果論ではあるが、それが正解だったかもしれない。

 それでも2003を使い続けてきた現場は少なくない。2003を使い続けてきたのには、それなりの理由もあるのだろう。だが、そのサポートがまさに今終了しようとしているのだ。

Windows XP終了まであと36週。そしてOffice 2003もまた…。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei