書名は堅いが内容はとっつきやすい。システム管理者やエンジニアに求められる“教養としてのセキュリティ”をかなり網羅的にまとめている。セキュリティ管理を展開していくにせよ、セキュリティ技術を取り扱うにせよ、脅威と防護手法の全体像は知っておく必要がある。本書はそうした土台となる知識を提供してくれる。一通り読めば、セキュリティ関連のニュース、専門ブログ、技術セミナー、ガイドラインなど、読者それぞれが必要とする分野での情報収集もスムーズになるだろう。

 とはいえ、A5判で350ページ超とかなり分厚い書籍だ。文章の無駄を削りつつ、口語的な表現を使って読みやすくする工夫を凝らしてある。それでも、数時間で読み終えられるものではない。教養的な内容すら、新書サイズに収められない状況であることにがくぜんとする。本の厚さがセキュリティ専門家と一般ユーザーの溝の深さにも感じられてくる。

情報セキュリティ入門[第2版]


情報セキュリティ入門[第2版]
羽室 英太郎 著
慶應義塾大学出版会発行
2940円(税込)


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