企業がソーシャルメディアをビジネス戦略、施策に利活用するにあたって、避けて通れないであろう問題のひとつに効果測定がある。自分たちのビジネスにかかわる戦略の立案や施策の推進には、何らかの目的、もといゴールが存在しており、それが達成されたのかを評価することが非常に重要になる。

 効果測定はソーシャルメディアの活用でも求められている。しかし、企業が本格的にソーシャルメディアを活用し始めてから現在に至るまで、効果測定の定番ともいえる方法論を確立できていない。

 ただしソーシャルメディア上の活動単体での効果測定は、これまでもなされていた。Twitterアカウントの場合、フォロワー数やリツイート数、そのほかの指標を使い、そのアクティブ度合いを確認できる。Facebookページでは、ファン数や「いいね!」数、コメント数、シェア数などの指標で、ある程度のアクティブ度合いを測定できる。実際にこれら指標で効果を測っている企業も少なくないだろう。

 しかし、これら指標を使って実行する効果測定が、限定的であるのは否めない。これらはあくまでも表面的な指標でしかないため、ソーシャルメディア上の活動がどの程度ビジネスゴールに対して貢献しているかまでは、わかりにくい。

 そのため、Facebookページの運営では「エンゲージメント率」と呼ぶ指標が多く使われるようになっている。とはいえこの「エンゲージメント率」だけで安易に施策全体を評価したり、この指標の数値の上下に一喜一憂したりするべきではなく、適切な活用が必要になるだろう。

 それは、この「エンゲージメント率」の定義が、そもそもきちんと確立されていないことによる。筆者が見てきた限りでも、「エンゲージメント率」の算出方法は、(これ以外にもあるかもしれないが)以下のように複数存在している。

  1. [いいね!+コメント +シェア]/[総ファン数]
  2. [PTAT(「話題にしている人の数」)]/[総ファン数]
  3. [いいね!+コメント +シェア]/[管理者投稿数×総ファン数]

 それぞれの方法で算出された結果は、当然のことだが異なっている。ただ、どの算出基準で効果を測定するべきかは、少なくとも社内では統一しておきたい。

 この「エンゲージメント率」には、上記を見てもわかるように、分母に何らかの形で「総ファン数」が使われている点にも注意しておきたい。そもそも Facebookには「エッジランク」呼ぶアルゴリズムがあって、Facebook のニュースフィードでハイライトに表示される投稿やFacebook 検索内の表示結果などを、それぞれのユーザーごとに最適化するようになっている。