システム開発現場では常に、検証やテストに使うマシン環境の整備や維持管理に悩まされています。検証やテストのためのマシンが不足したり、マシンのセットアップや維持保守の手間に悩まされたりといったことがよくあります。また、最近では国内の拠点だけでなく、海外の拠点でもシステム開発を進めるため、拠点間で最新版のドキュメントやソースコードを共有する必要があるにもかかわらず、きちんと管理できていないことがあります。

 クラウドコンピューティングをシステム開発に活用することで、上記のようなマシン環境にかかわる課題を解決できます。最近ではシステム開発でクラウドを利用することが当たり前になっていますが、クラウドを利用し生産性や品質を向上させるには、クラウドの特徴を把握し、クラウドを上手に利用する必要があります。

 システム開発現場で生じている具体的課題に対して、システム開発でクラウドを活用するシーンも増えています。クラウドの利用にあたっての課題も見えてきましたが、それを解決しシステム開発の高速化・高品質化につなげる取り組みも始まっています。

現場に転がる使われないマシン

 システム開発の中で、以下のようなシーンはないでしょうか。

  • お客様に依頼され、急きょ検証用のマシンが必要になった
  • テスト用のマシンが不足し、すぐに用意しなければならなくなった

 こうした場合、急いで社内で使っていないマシンを探したり、新規にマシンを購入したりしていることでしょう。しかし、検証やテストが終わった後は、急いで用意したマシンに用途がなくなり、使われずにシステム開発現場のフロアに放置されていることがよくあります。多くのシステム開発プロジェクトを抱える会社ではこうしたことが、各プロジェクトで発生しているため、社内は使われていないマシンであふれているのです。

 しかも検証用のマシンやテスト用のマシンを用意するたびに、毎回ゼロからセットアップしていませんか。具体的には、以下の作業を台数分繰り返しているのではないでしょうか。

  • マシンの調達(ベンダーへの見積り依頼、決裁、発注)
  • マシン設置場所の確保
  • マシンの設置・配線
  • OS・ミドルウエアのインストール・設定
  • アプリケーションのデプロイ
  • 維持保守(設定変更、故障時のベンダーへの対応依頼)

 例えば、同一のテスト環境を複数用意する場合、テスト環境の数だけセットアップし、維持保守する必要があります。セットアップは人手で行うため、ミスも付き物です。同一のテスト環境のはずなのに差分があり、それが原因で予測せぬ不具合が生じたり解析に手間取ったりすることがあります。

 しかもマシンの調達には1カ月以上かかり、すぐにマシンを用意できずに開発スケジュールの遅れにつながってしまうことも珍しくありません。