ITシステムはアプリケーションとシステム基盤によって構成されています。アプリケーションとはユーザーが操作する画面や業務処理などに相当し、システム基盤はアプリケーションがハードウエアを効率的に利用できるようにするサポート役に相当する部分です。

 「システム基盤構築の自動化」とは、ハードウエアやネットワークの配線といった物理的な作業の後、各種ハードウエアやネットワークの設定のほか、ミドルウエアのインストールや設定といった作業を自動化する技術のことを指します。

 システム構築のためには、構築のための設計の後、ミドルウエアのインストールや各種設定作業、設定確認テスト、プログラム配置といった手順が必要になります。これらを手動で作業するには1台だけでも時間がかかります。システム開発には通常、複数台のサーバーが必要となりますので、基盤構築を人手ですると、ハードウエア台数分の作業時間がかかり、すべての作業で操作ミスを防ぐことは難しくなります。

 一方でミドルウエアのインストールや設定は当然のこと、最近ではハードウエアやネットワークの設定などの作業を、プログラムで実行できる(プログラマブル)ようになっています。このことは、人が介在することなく、ミドルウエアのインストールと、ハードやミドルウエアの設定を自動化できることを意味します(図1)。

図1●システム基盤の構築作業

 自動化された設定作業では、不具合が発生した場合にも、その対策をプログラムにフィードバックできるため、ミスの再発を防ぐことができます。インストールや設定時に待ち時間が発生しても、担当者のリソースを無駄にすることがありません。

 インストールや設定作業を自動化することで正確かつ迅速に基盤を構築できるようになるのです。

急激なアクセス増にスケールアウトで対応するWebサービス

 システム基盤は多岐にわたりますが、自動化を説明するわかりやすい例として以下ではWebサービスを支える基盤を取り上げます。

 現在、Webサービスを支えるシステム基盤には、アクセス数の増加に応じて迅速にスケールアウト(サーバーの数を増やすなどでシステムの処理性能を上げる)できることが求められています。インターネットの普及が進み、だれもが気軽にWebサービスを利用できるようになったからです。この結果、ひとつのWebサービスにアクセスできるユーザーは全世界に存在することになり、急激なアクセスが集中する可能性があります。