商用ソフトメーカーのなかには、クラウドへのライセンス持ち込みに一定の条件を課しているケースがある。その条件はソフトメーカーによって異なる。オンプレミスのサーバーで使っていた製品を、そのままクラウドに移行できるわけではないのだ(図1)。
例えばMicrosoft製品では、三つの条件がある。どれか一つの条件でも合致していないものがあると、クラウドにライセンスを持ち込めない。
一つめの条件は「Microsoftがクラウドへの持ち込みを許可している製品」であること。例えば、Windows Serverはクラウドへの持ち込みが禁止されている。つまりWindows Serverは、クラウド事業者が提供するサービスとしてしか利用できない。
クラウドへの持ち込みを認められた製品としては、SQL Server、システム運用管理のSystem Center、グループウエアのExchange Serverなどがある。ただし、どの製品であっても「ソフトウエア アシュアランス(SA)」と呼ぶアップグレード権を併せて所有している必要がある。SAの特典として、上記のような製品のライセンスをクラウドに持ち込むことが許されるのだ。
二つめの条件は「Microsoftが許可している事業者」のクラウドであることだ。Microsoftが認定した国内のクラウド事業者には、KDDI、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、NTT東日本、伊藤忠テクノソリューションズ、インターネットイニシアティブ、大塚商会、ニフティ、野村総合研究所、富士通など43社がある(2013年3月8日時点)。
このほかMicrosoft直営のクラウドであるWindows Azureやグローバルで認定された海外のクラウド事業者でも、Microsoftの商用ソフトを持ち込める。
三つめの条件は「ソフトメーカーへの申請書の提出」だ。ユーザーは、製品を導入した後10日以内に、ライセンスを持ち込んだことを所定のフォーマットでMicrosoftに申請しなければならない。後日、Microsoftがライセンス違反をしていないかどうかを確認し、ユーザーに通知が届くという。