修正すべきアプリが結構ありそうだが、何から手を付けたらいいか分からない---。そんな企業は、まず業務アプリケーションの棚卸しと仕分けに今すぐ着手しよう。これにより、脱XPにかかる費用や期間を見積もりやすくなる。

 その結果、脱XPが2014年4月に間に合わないことが明らかになった場合は、XP搭載PCのセキュリティ対策を強化することで、サポート終了に伴うリスクを抑える。ただしその場合も最終リミットは2015年3月前後と考え、それまでのできるだけ早い日程で脱XPを達成するべきだ。

 2015年3月を最終リミットに設定した理由の一つは、2015年までにXP搭載PCの大半が、ハードウエア保守サポートの期限切れを迎えることだ。例えば日本HPでは、修理部品の供給などのサポートは「基本的に販売終了後5年まで」(日本HP)。XP搭載PCの販売が終了する直前の2010年にPCを大量購入した企業は、2015年いっぱいでPCがサポート切れを迎える。

 大企業であれば、製品のサポート終了後、米マイクロソフトから個別にサポートを受けられる「カスタム・サポート」の契約を結ぶことで、セキュリティについても一定のサポートが得られる可能性はある。ただし、カスタム・サポートの費用は一般にかなり高くつく。あるユーザー企業は「PC1台当たり年間2万円前後との試算だった」と語る。さらに、2年目以降はサポート費用が2倍になってしまう。契約を結ぶとしても、1年以内、つまり2015年3月までにとどめるべきだろう。

 2015年3月以降は、生産系など完全にオフラインの端末を除けば、やはりXP搭載PCの利用は避けるべきである。サポートが終了したOSのセキュリティリスクは、終了から時間が経つに従って高まるためだ。ウイルスに感染したXP搭載PCを放置すれば、他社へのサイバー攻撃に利用され、信用を失墜する可能性もある。

まずアプリの棚卸しから

 これから脱XPの移行計画を策定する上では、大きく3ステップで効率的に臨みたい(図6)。

図6●法人PCのXP移行プロセスの概要
まずは業務アプリケーションの棚卸しから。
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 最初の段階は、業務アプリケーションの棚卸しだ。利用部門の協力を得るなどして、使っている業務アプリケーションを洗い出し、用途、利用人数、動作・開発環境などを特定する。

 棚卸しの対象となる業務アプリケーションは広範に及ぶ。Internet Explorer 6はWindows Vista以降のOSでは使えず、.NET Framework 1.1 もWindows 7以降はサポートされない。Visual Basic 6.0ランタイムはWindows Vista、同7、同8にも同梱されているが、開発環境はWindows Vista以降ではサポートされていないので、別の基盤への移行が望ましい。

 Windows XPのサポート終了と同時期にOffice 2003のサポートも終了するので、Office 2003以前のVBA(マクロ)を使用した業務アプリケーションも移行の対象になる。