「Windows XPの話題だけは勘弁してもらえないか」。

 ある都内の区役所の情報システム担当者は、Windows XP搭載PCの移行計画を聞きたいという本誌の取材依頼に、こう答えた。セキュリティポリシー上はサポート終了後のソフトは使えないにもかかわらず、移行に必要な予算が確保できていないため、具体的な計画を立てられないという。

企業により対応はバラバラ

 サポート終了への対応は、企業ごとに大きなバラつきがある。2~3年前から計画を立て、2014年4月までのOS移行にメドを付けた企業がある一方、「何から手を付ければいいか、見当も付かない」と困惑する企業もある。

 期限までに「脱XP」を目指したが、間に合わない場合も少なくない。「XP搭載PCはサポート終了からしばらくは残すことになりそう」。ある公共インフラ系企業の情報システム担当者はこう語る。

 社内のPC約3万台のうち、今も約2万台がWindows XP搭載機のまま。現在、XP上で利用中の業務アプリケーションをWindows 7に対応させる作業を進めているが、一部アプリの改修はサポート終了に間に合わない。このため、XP搭載PC約600台を、サポート終了後も1~2カ月ほど残す計画という(図1)。

図1●サポート終了後もWindows XP搭載PCを残すという選択
図1●サポート終了後もWindows XP搭載PCを残すという選択
ある公共インフラ系企業は、社内OA端末は2014年5月、業務専用端末は2015年秋までWindows XP搭載PCを残す計画だ。
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 さらに、インターネットに接続していない特定業務専用のPC約5000台は、サポート終了後も当面は残す。最終的に移行が完了するのは2015年秋頃の見通しだ。

まだ6割がXPを利用中

 2014年4月9日(日本時間)、米マイクロソフトはWindows XP SP3の延長サポートを終了する。これにより、たとえOSに脆弱性が見つかっても、マイクロソフトから修正パッチは提供されない。Internet Explorer 6も同様にパッチが提供されなくなる。XP向けデバイスドライバーも順次供給が止まる見通し。2014年4月9日までには、XP搭載PCを社内から一掃しなければならない。

 だが現実の統計データを見ると、サポート終了後も相当数のWindows XPが残りそうだ。