以前、50代くらいの方にこう愚痴られたことがあります。

僕たちの若いころは、上司に仕事を言いつけられたら、文句を言わずにとにかくやったもんだ。今の若手は『目的は何ですか?』と聞いてくるし、納得しないと動かない

 確かに2~30年前の職場では、若手に目的をいちいち伝えて仕事をさせることは少なかったのでしょう。でも、その場合でも、若手が目的をちゃんと知ってから仕事をしていたら、もっと楽しく前向きに取り組めていたように思います。

 どうせ働くのであれば、少しでも楽しく、納得感を持って取り組みたい。多くの人がそう思っているに違いありません。今50代の人だって、本当は若いころにそう考えていたのではないでしょうか。

「いいからやって」でやる気が低下

 もちろん仕事である以上、えり好みは禁物です。「好きなことはやるけど、あまり乗り気じゃないことや、興味のないことはやらない」という態度は許されません。一方で、仕事に取り組む以上はやりがいを感じたいと、誰もが考えるものです。

 実際、若手に「仕事でやる気がなくなるのは、どんな時ですか?」と尋ねると、多くの人が「何のためかわからずやらされる時」と答えます。理由を説明せずに「いいからやって」「やればわかるから」などと言われ、げんなりするという回答もありました。

 「誰でもいいからやって」「あなたしか余っていなかったからやって」と言われると面白くない、という人もいました。これらの言い方で仕事を割り当てられると、押し付けられた感じがするからでしょう。

 若手に限らず、誰でも「自分は意味のあることをしている」と感じていたいものです。「いいから」「とにかく」などと言われて仕事を強いられると、前向きに取り組むのが難しくなるのは当たり前です。