ビジネスを取り巻く環境の変化が速くなり、それとともにソフトウエア開発プロジェクトの短期間化が進んでいます。このような中では、プロジェクトの一部に数日の遅延が発生しただけで、プロジェクト全体の進行に影響する大きなダメージとなりえます。

 このためシステム開発プロジェクトの進捗や品質を管理するプロジェクト管理では、「プロジェクトの見える化」そして「リアルタイムなプロジェクト管理」が非常に重要になります。「プロジェクトの見える化」によって、遅延や遅延しそうな傾向にあるチームの状態を把握できるようになります。「リアルタイムなプロジェクト管理」によって、その遅延を早期に検知でき、素早くアクションをとることで、フィードバックの高速化を実現できます。

 「プロジェクトの見える化」には定量的なプロジェクト管理が、「リアルタイムなプロジェクト管理」には頻繁な状況収集が、それぞれ必要です。しかしこれらをヒューマンパワーで解決するには限界があります。そこで、プロジェクト管理を自動化によって効率化したうえで、プロジェクトを可視化できる仕組みが必要になりました。さらに、そうしたニーズを満たすツールがいくつも登場しており、既に現場の最前線で利用されています。

プロジェクト管理の全体像と「自動化」「可視化」

 そもそもプロジェクト管理とは何か、そして管理を自動化しその結果を可視化していくにあたって、何をするのかを考えていきます。

 ここではプロジェクト管理のナレッジの集大成である「PMBOK」(プロジェクトマナジメント知識体系ガイド第4版)を参考にします。PMBOKでは、プロジェクト管理を9つの「知識エリア」と5つの「プロセス群」に分けています(図1)。

図1●知識エリアとプロセス群

 プロジェクト管理で実施する作業は多岐にわたります。その作業を整理したものが9つの知識エリアです。5つのプロセス群は、プロジェクトの開始と終了にあたる「立上げ」と「終結」に加え、そして各知識エリアでのPDCAサイクルの進行を表わす「計画」「実行」「監視・コントロール」で構成されています。ここでは、これら5つのプロセス群に注目していきます。

 「立上げ」「終結」といったプロジェクトの始まり、終わりのプロセスでは、開始にあたっての要員や予算の確保、プロジェクトを完了する判断などを実行するプロセスであり、プロジェクトマネージャー(PM)のスキルが必要となります。