NTTドコモは2013年6月1日から、婦人体温計の販売を開始した(写真1)。ドコモショップの店頭にスマートフォンと並んでオムロン製の体温計が並び、しかも販売が“意外にも”好調であることは既にITproで紹介済みである(関連記事:ドコモが6月1日から提供開始した婦人体温計、“繁盛店”は毎日1件ペースで成約の驚き )。

写真1●「ドコモショップ豊洲店」の入口付近に設置された「カラダのキモチ」の専用ブース
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 6月中旬に取材に訪れた都内の「ドコモショップ豊洲店」では、ドコモ・ヘルスケアが提供する「カラダのキモチ」の専用ブースが入り口の目の前に設けられ、一際目立っていた。

 豊洲店が体温計の販売に力を入れていることがよく伝わってくる。スマホよりも目立つ入り口付近に、体温計が置かれているのだから。

 カウンターにも豊洲店で独自に用意した体温計のPOPが掲げられ、スマホの機種変更などに訪れた女性客には“さりげなく”、「基礎体温の測定はどうしていますか?」とスタッフが話しかけていた。男性スタッフも果敢に声掛けしているのは驚きだった。

 携帯電話ショップでの会話とは思えないこうした光景が、これからは“普通”になるのかもしれない。競合他社も相次いで、スマホと連携した健康事業の強化に乗り出している。

 スマホ以外に商材をどんどん拡大しているドコモにとって、現物を消費者に提示できるドコモショップは最高の「アンテナショップ」になる。もちろん、体温計は後日、パソコンやスマホからでも購入可能だ。ドコモポイントでも購入できる。

 接客される顧客の方も、最初のうちは「なぜドコモショップで体温計を?」と疑問に思うだろう。だがスマホと無線でつながり基礎体温を簡単に記録できる体温計は、案外すんなりと受け入れられるのかもしれない。

 そしてもう1つ。豊洲店に入る前から、記者は店先の通路で別の掲示物に目が向いていた。

 スマホの「ツートップ」販売を知らせる垂れ幕と並んで、ドコモのグループ入りした「らでぃっしゅぼーや」のりんごジュースの試飲を豊洲店で実施していることを知らせる看板が置かれていた。たまたま記者が取材に訪れた日が、試飲キャンペーンの日に当たっていたのである。

 ドコモショップで、りんごジュースの試飲キャンペーン。(長い)待ち時間の暇つぶしに、ちょっと一杯。気に入れば、スマホからお買い上げ──。

 そんなビジネスモデルともいえる“ドコモ商法”が現実のものになろうとしている。はたして、勝算はあるのだろうか。