パソコンの電源を入れてから起動するまでに時間がかかる。起動したように見えても、ハードディスク(HDD)のアクセスランプが忙しく動き、10分以上も消えない。アプリやWebブラウザーの動作が鈍く、イライラする。自分のパソコンに性能不足を感じるのはこんなときだ。
日経パソコンが実施したアンケート調査では、パソコン買い替えの理由として、動作の遅さに対する不満を挙げた読者が51.8%と最も多かった。ただし、遅くとも使えてしまうというのが曲者で、なかなか買い替えの踏ん切りがつかない。遅くなる症状は徐々に進行するため、不満を感じつつ使い続けてしまう人も多いだろう。
起動や動作が遅くなる原因はいろいろある(図1)。HDDの残り容量が少なくなったり、データの断片化が進んだりしているのかもしれない。度重なるソフトのインストールで、不要な常駐ソフトが増え過ぎたり、動作が不調になったりしている可能性もある。新しいソフトほどメモリーやCPUの処理能力を消費する傾向にあるので、ソフトを新しくするほど動作が遅く感じることもある。
再インストールを試す
買い替えを検討する前に、ソフトの整理やメモリー増設など、できる対処をしてみたい。「セキュリティソフトを複数動かすことで動作が遅くなっていたり、排熱口にほこりがたまってCPUが熱くなることでハングアップしやすくなっていたりするケースも多い」(富士通リペアサービス統括部の猪目祐輔シニアマネージャー)。こうした、見逃しがちな原因にも目を向ける必要がある。
性能不足を最もはっきりと調べられる手段は再インストールだ。これにより、累積した不具合などを一掃し、購入したての快適な環境を取り戻せる(図2)。しかし、実際には、再インストールしただけでは使えない。安全に利用するためには最低限、Windows Updateで累積した修正パッチを適用したり、セキュリティソフトをインストールする必要がある。その上で必要なソフトなどを入れると、やはりまた遅く感じることもあるのだ。そうしたときには、性能不足と判断せざるを得ない。
パソコンが故障して動かない場合は、メーカーのサポートに相談するのが早道だ。多いのはHDDやマザーボードの故障で、保証期間を過ぎていると、元の状態に戻すのにどちらも5万円前後かかる(図3)。「マザーボード故障は修理する人が多いが、HDDの故障だと修理してもデータが戻らないので、買い替えを選ぶ人が多い」(NECパーソナルコンピュータ広報部)という。