一度立てた計画を修正する、ましてやリリース時期を延期するような計画の見直しは、相応の覚悟と勇気が必要だ。

 それだけではなく、スケジュール延期にはコストの増加という犠牲もついて回る。そんな「リスケ」を、要件定義フェーズという上流工程で英断できたプロジェクトがある。今回はそんな話だ。

 そのプロジェクトは、某事業領域におけるBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を伴う大規模なサイトの再構築だった。期間にして1年超、投資規模も十数億円という、リクルートでも指折りの巨大なプロジェクトである。

 実はこのプロジェクト以前に、同じ事業領域で「炎上」と評されても仕方がないような開発プロジェクトが存在していた。そんな背景もあって、今回のプロジェクトは「絶対に失敗が許されない」ものだった。

 前回の失敗原因の1つに、次々と見つかった問題に対して「最後に何とかする」というマインドで現場が臨んでしまった、ということがあった。

 それ以前にも危険なプロジェクトは幾つかあったが、そのたびに「気合いと根性」で何とかしてきてしまったことで、逆に油断が生まれてしまったのかもしれない。

 結果的には、気合いと根性ではどうにも対処できないレベルにまで、雪だるま式に問題が膨れ上がり、品質に大きな問題を抱えたままリリースせざるを得ないという厳しい状況に追い込まれてしまったのである。

 そこで今回は第一に、前回の教訓である「最後に何とかするはあり得ない」ということを肝に銘じて全員がプロジェクトに臨むことにした。そのため、万全な計画と体制でプロジェクトをスタートさせたつもりだったが、それでもそう簡単には進まなかった。

 まずは超上流工程であるビジネス検討の段階で、早くも問題が噴出した。