前回までお話してきた「大組織の宿命」とでもいうべき規模の拡大と歴史に伴う組織の劣化、つまり老化現象に対してはどう対策すればよいのでしょうか。

 「老化は不可避の宿命である」というのは個人でも会社でも同じですが、だからといって対策がないわけではありません。必要なのは「うまくつきあう」ことです。今回からは「会社のアンチエイジング」をどう考えるかについて解説します。そのために必要なのが、(1)老化スピードを遅らせる、(2)時に応じて「不連続な老化への対策」を施す――といった2つの視点です。

「うまくつきあうしかない」と開き直る

 会社の老化への対策、つまり「アンチエイジング」ですが、まず大前提として必要なことは、意識の問題として「運命を受け入れる」ことです。

 大企業の経営者や管理者は「官僚主義の打破」を図りたいという心境になるのは無理もないことですが、「大企業が官僚主義から脱却することは不可能」です。それは本連載で繰り返し述べているように、自然の法則に逆らおうとするのと同じことです。「永久機関」を発明するのが熱力学の基本法則に反しているために不可能であるのと同様、「官僚主義でない大企業」というのは自己矛盾です。従ってそれによる「副作用」とは「うまくつきあうしかない」と開き直ることです。

 ここでどの企業にも概ねあてはまる老化の進行度曲線について考えてみましょう。を見て下さい。

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 横軸が時間、縦軸が老化の進行度です。