芦屋広太氏の人気連載「ひとつ上のヒューマンマネジメント」で、ほぼ1年にわたって掲載してきたシリーズ「どの上司にも通用する説明術」が先週、最終回を迎えた。同シリーズは誰もが頭を悩ませる上司への説明をテーマとして、陥りやすい“10のダメ説明”ごとに、その改善方法を解説してきた。

「10のダメ説明」

  1. 長い、細かい、テンポ悪すぎ
  2. 論点不明、主旨不明、結論なし
  3. 抽象的、具体的でない、表面的
  4. 理由がない、何故?が満載、説明が不足
  5. 独りよがり、自分視点、自己中心
  6. 遅い、ぎりぎり、時間なし
  7. 理解が浅い、内容が陳腐、質問されると沈黙
  8. 先を読まない、場当たり的、その場しのぎ
  9. 思想がない、考えがない、自分がない
  10. 反論する、否定する、対立する

 シリーズでは毎回、システムの開発・運用現場で発生する息が詰まるようなトラブルを舞台に、ダメ説明がなぜダメなのか、問題を改善するにはどうすればよいかを説明した。

 例えば、6番目のダメ説明である「遅い、ぎりぎり、時間なし」では、日常業務に追われて上司への説明がいつも締め切り間際になってしまう岸上氏(IT企画課に勤務、30歳・男性)が登場。上司である課長との軋轢(あつれき)や、そのフォローにまわる新任の係長との会話を通じて、「遅い、ぎりぎり、時間なし」が本人やまわりをいかに不幸にするか、さらに上司の承認をスムーズに得るための行動のステップを紹介している。

 この回に限らず、指導側と問題を抱える側の会話はかなり生々しい。時には、このままでは会社でのキャリアがお先真っ暗になることを伝えたりと、一歩間違えば“パワハラ”との批判も招きそうなほどだ。だが詳しく読むと、仕事への姿勢や考え方の未成熟をまず指摘することが、具体的な指導を受け入れてもらうためにどうしても必要だったことが分かるはずだ。