米Red Hatが、OSからミドルウエア、クラウドへとプロダクトを拡大している。Red Hatは何を目指しているのか。2013年6月に米国ボストンで開催されたRed Hat Summit 2013(関連記事)で、同社のトップに聞いた。第1回はRed Hat 社長兼CEO Jim Whitehurst氏と日本法人 レッドハット 代表取締役社長 廣川裕司氏に、同社が描くオープンソースビジネスのビジョンを聞いた。

(聞き手は高橋 信頼=ITpro


Red Hat 社長兼CEO Jim Whitehurst氏

Red Hatはここ数年多くの企業を買収しポートフォリオを広げている。Red Hatが目指す姿は。

Whitehurst氏: オープンソースはコンピューティングのパラダイム・シフトだ。オープンソースは従来のコンピューターシステムを置き換えてきた。

 Red Hatが目指すのは、オープンソースによる包括的なソリューションを提供することだ。OS、ミドルウエアだけでなく、IaaS、仮想化、ストレージ、顧客に必要なすべてがオープンソースで構成されたスタック、オープンなインフラを構築するために投資を続けている。ユーザーに、ロックインのない選択肢を提供する。

コンポーネントからソリューションへ

 我々はかつてコンポーネントプロバイダーだった。ソリューションプロバイダーになるために企業を変えてきた。例えばデータセンターのためにはどのような技術が必要か。それを提供できるようにするために組織を変え、また必要なスキルを持つ社員を雇った。今年度だけで数百人が増加している。

廣川氏: Red Hatの変化はここ2~3年のことではない。5年前にJim WhitehurstがCEOに就任し、Red Hatのストラテジーを再定義した。それ以前を「Red Hat 1.0」とすれば、現在は「Red Hat 2.0」、(360度広がる)傘のような、マルチソリューションカンパニーだ。

オープンソースのトップ企業としての責任をどう感じているか。

Whitehurst氏: 我々には、Red Hatだけでなく、オープンソース全体を守る責任がある。ユーザー企業に対しオープンソースソフトウエアに関する訴訟費用を支援する制度「Open Source Assurance」を提供しており、最近では米Rackspaceに対する特許訴訟の費用を支援した(関連記事:「数学的アルゴリズムに特許認めず」、Linuxに関するRackspaceへの訴えを米裁判所が却下)。

 政府に対するロビーイングも重要な仕事だ。政府がオープンソースに親和的になるよう、特許制度などに関し働きかけを行なっている。

 Red Hatには多くのオープンソース開発者が在籍している。我々がソリューションを提供している領域はもちろんだが、ソリューションを持たないデスクトップの領域でも多くの開発者が在籍している。PostgreSQLのキーコントリビューターもRed Hatに在籍している。Red Hatはリーダーとして、オープンソースが健全に成長するようにする責任がある。