元ソニーのCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏が、企業のシステム部門が幸せになるための道筋を、ソニー時代の経験を基に語る。長谷島氏は、周りから何と言われようとも、まずはシステム部門で働く人たち自身が自分の仕事に納得することが全ての始まりだと説く。


 人が働くなかで、一番幸せなことは、周りに認められ、相応の報酬を受けることではないか。では、「システム部門で働く人たちは、幸せを感じているのだろうか」―。私がCIO(最高情報責任者)に就任した時、最初に問うたのはこれだった。と同時に「システム部門が幸せになるとは、どういうことなのだろう」とも考えた。

 システム部門のなかには概して、自分たちが損な役回りを演じていると思っている人が多いのではないだろうか。システムが順調に動いている時は特に褒められたり感謝されたりしないが、何か問題が起きると、途端に「スピードが遅い」だの、「コストが高い」だのと文句を言われる。

 ITは加速度的に進化しており、幅広く活用されることによって、企業運営に欠かせないライフラインになっている。システム部門は今や企業に欠くべからざる役割を担い始めている。システム部門で働く人たちは日々かなりのプレッシャーを感じながら、仕事に就いているはずだ。

 しかし、残念ながら、重要かつ難しい仕事を受け持っているにもかかわらず、周りから正当な評価を受けていないのが実情だろう。努力を認められていない。さらに多くの場合、疲弊・疲労し切っていて元気がないのではないか。この状況は、企業の規模や業種に関係なく、どこのシステム部門も似たり寄ったりだろう。

 外部から見た「システム部門に対する評価の目」を変えてもらうのが、システム部門が幸せになる早道であることは間違いない。これができれば、一番いい。しかし、外的要因を変えるのは簡単ではない。どうすればよいのだろうか。

 外の目を容易に変えられない以上、まずシステム部門のなかで、きちんと認知されることが大事ではないか。自分たちの役割を見直し、達成感という幸せをつかんでいくしかないと、私は考える。まず自分たちが「被害者意識」からの脱却を図らなければならない。