2013年7月21日の投票日まで10日を切った第23回参議院議員選挙。この選挙戦の勝敗を握る有権者が知っておくべきことについて話をしたい。有権者は「選挙」という競技では“観戦者”で、しかも自分の選挙区では勝敗を決める得点となる「票」を投じる役割も負っている。

 ということは、有権者はこの競技のルールをよく知らなくてはならない。例えば候補者や有権者のルール違反を目撃したならば、選挙にかかわるものとして適切な対応が求められる。無意識であっても、ルール違反に加担しないようふるまう必要もある。選挙への参加は国民の義務であり権利といった堅い話をしたいわけではないが、あらゆる人が選挙と無関係ではいられないことも事実である。しっかり意識をしよう。

 まず、自分がネットとは無関係だと考えている人について。そう考える人がこの記事を読むかは別として、意識してほしいのは、自分が無関係だと思っていてもネットの中に実社会の自分の分身にあたるものが存在していることだ。この点を認識するところから始めてほしい。

接していないはずのネットに自分の分身が

 ネットにまったく接していないと思っていても、例えばコンビニエンスストアなどで買い物をする、友人から宅配便を受け取る、銀行口座を開設して送金する、クレジットカードで買い物をする――といった日常の行動は、既にサイバー空間で処理され記録されている。それらの情報を第三者が勝手に利用してよいわけではないが、少なくとも自分自身の行動の多くは電子的に記録されており、ネット上に自分の分身が存在していることになる。

 ここで効率よく選挙運動を進めようとする人は、ネット上に蓄積されたあなたの分身にあたるデータを活用して、巧みに選挙運動を仕掛けることができるかもしれない。あなた自身を個人として特定していなくても、あなたの弱点(例えば話を聞きやすいとか受け入れやすいとか)を知って、そこを狙ってくることを意識しておこう。

 例えば、フェイスブックからは「感動秘話」に滅法弱い人を読み取れるはずだ。こうした弱みをに利用されないような注意が必要になる。若者や女性といった異なる層には、別の「弱いもの」があるはずであり、そうした点が狙われる。

 「政治」に興味がなく「政治活動」や「政党・政治家」が嫌いな人に対するアプローチも設計されているはずだ。ネット選挙運動が解禁されたことに伴い、無党派層や無関心層を一つの固まりとした選挙区ができたようなもので、こうした層に対してアプローチし成功すれば、選挙の勝敗も変えられると考える人たちがいるのだ。