米オラクルが2013年6月、クラウドに関する提携を立て続けに発表した。提携相手は、米マイクロソフト(MS)、米セールスフォース・ドットコム(SFDC)、米ネットスイートの3社だ()。ライバル関係にあるMSなどとも手を組んだオラクルの狙いは、成長路線の堅持にある。

表●米オラクルが2013年6月に発表したクラウド関連の提携
表●米オラクルが2013年6月に発表したクラウド関連の提携
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 オラクルの2013年3~5月期決算は売上高が横ばいだった。次なる成長の要となるのが、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)と、垂直統合機「エンジニアード・システムズ」だ。3~5月期決算では、SaaSの売上高は前年同期比50%増、垂直統合機は同45%増だった。オラクルはMSやSFDCといった勢いのあるクラウド事業者との提携を通じて、この2分野による売上高の底上げをもくろむ。

 MSとの提携では、MSのクラウドサービス「Windows Azure」で、「Oracle Database(DB)」をはじめとするオラクル製ソフトウエアの動作保証を行う。「Windows Server」の仮想化機能「Hyper-V」でのオラクル製ソフトの動作も保証する。オラクルは2008年9月に、米アマゾン・ウェブ・サービスの「Amazon Web Services」上でオラクル製ソフトの動作保証を行っている。これから5年遅れで、Windows Azureがオラクル製ソフトに対応した格好だ。

 SFDCとの提携では、同社の「Salesforce.com」と、オラクルの人材管理SaaS「Fusion HCM」との連携を強化する。SFDCはSalesforce.comのIT基盤として「Exadata」などのオラクル製品を採用する。オラクルにとって特に意味があるのは後者の内容だ。

 SFDCは2009年までに、Salesforce.comのバックエンドでOracle DBを稼働させるハードウエアを、米サン・マイクロシステムズ(当時)製のUNIXサーバーから、米デル製のPCサーバーに切り替えていた。SFDCは今回、サンを買収したオラクルのハードに「復帰」することになる。日本オラクルの遠藤隆雄社長は、「オラクルがクラウドの技術で最先端の位置にあることを示せた」と強調する。

 ネットスイートとの提携では、同社の中小企業向けERP(統合基幹業務パッケージ)のSaaSとオラクルのFusion HCMの連携を強化する。さらにオラクルとネットスイート、米デロイトが提携し、中小企業向け販路を開拓する。

 なお、日本市場におけるこれらの提携関係について、日本オラクルの遠藤社長は「コメントは控える」とした。