パズル&ドラゴンズの画面

 今回も、筆者がインタビューで得た事例を記載する。前回は「普通の」大学生の話だったが、今回はネット上で特殊な体験をしてしまった中高生のいくつかの事件を紹介する。

 ほとんどの中高生たちはスマートフォンを「賢く」使っている。しかし、その一方で、スマートフォンを入り口にして、今回紹介するような事件も発生している。この社会に身を置く大人として、これらの事実から目を逸らしてはいけない。筆者自身、十分な対応ができているとは思っていないが、自戒を込めた問題提起と受け止めていただきたい。

 まずは、筆者が見聞きした中で最も「悲痛な」事例を二つ紹介する。事実に基づいているが、プライバシー保護のため、情報の一部改変や複数事例の合一をしていることをお許しいただきたい。

事例1:「ワンクリック詐欺」の脅しに反応した中学生

 学校ではまじめで通っていたA男(中2男子)が、インターネットでアダルト動画を見ようとした。年齢認証の画面で本当の年齢である14歳と入力したのでは動画を見られないと思い、年齢を偽って入力して「次へ」のボタンをクリックした。

 すると次に現れたのは、「登録完了、99,800円振り込んでください」という画面。続けて、「3日以内に振り込みがないと正規料金の150,000円」という記載があった。焦ったA男は、画面の最下部にあった「退会する」のボタンをクリックした。メール送信画面に切り替わり、画面上には「何も書かずにこのまま送信してください」とあった。

 指示に従ってメールを送信したところ、即座に返信が届き、「当会からの退会は完了しましたが、取り立ての権利は○○組(実在する広域暴力団の名前)に移ります。彼らは凶暴ですので、命が惜しければ、今すぐに99,800円を振り込むことを勧めます」と書かれていた。

 この内容を読んで、居てもたっても居られなくなったA男は、お年玉など自分の所持金だけでなく、両親の財布から抜き取るなどして現金をかき集めたが、全然足りない。困ったA男は、駅前でひったくりを繰り返すようになった。

 老人を狙い慎重を期したので最初のうちは成功していたが、目標額まであとわずかのところで、張り込みをしていた警察官に現行犯逮捕された。

 逮捕されたA男は、「暴力団に殺されたくなかった。アダルトサイトを見ようとしてひっかかったので、親や先生には相談できなかった」と泣きながら話していたという。