「ワンバンク化のためのシステム統合は完了した」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の社長を兼務するみずほ銀行の佐藤康博頭取(写真)は2013年7月1日、東京都内の本店で開いた記者会見の場で、こう胸を張った。FG傘下の旧みずほ銀行(BK)と旧みずほコーポレート銀行(CB)は同日付で合併し、新しいみずほ銀が誕生した。

写真●みずほ銀行の佐藤康博頭取

 佐藤頭取は「FG社長に就任してからちょうど2年。スピード感を持って(ワンバンクに向けた)組織体制作りを進めてきた」と強調した。事実、組織統合ではかなりの成果を上げてきた。2011年9月に実施したみずほ信託銀行(TB)やみずほ証券などの100%子会社化に始まり、2012年4月にはBKとCBの組織を統合し実質ワンバンクの体制を確立。2013年1月にはFG傘下のみずほ証券とみずほインベスターズ証券の合併を果たし、そして今回のBKとCBの合併に漕ぎ着けた。

 一方、情報システムについては、現時点では組織ほどは「統合」が進んでいない。みずほ銀は今も、旧BKと旧CBのシステムを並行稼働させているのが実態だ()。

図●7月1日以降のみずほ銀行の情報システム構成
図●7月1日以降のみずほ銀行の情報システム構成
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 佐藤頭取は「(システム)統合成功をひとつの土台として、弾みをつけていきたい」と力を込めた。だが、今回のシステム変更作業は、旧BKと旧CBのシステムをリレーコンピュータでつなぎ、CBの銀行コードと一部店舗の店名を変更した程度。これから臨むシステム完全統合・全面刷新は「2500億円から3000億円」(同)の大規模プロジェクトだ。「ベースとなる基盤システムの開発は完了した。今後は基盤システムの上に、外為、融資、為替といったアプリケーションを、2016年3月をメドに開発する」(佐藤頭取)とのことだが、これからが正念場だ。

 みずほ銀のシステム完全統合・全面刷新は、BKとCBのシステムを単純に一本化させるのではない。勘定系を含む中核システムを全面的に作り直す難関プロジェクトだ。さらに、TBのシステムまで統合する、前例なき取り組みである。過去のメガバンクのシステム統合は、旧行のシステムに片寄せする方式が一般的。完全統合と刷新を並行させるのも、信託の機能を取り込むのも、日本初だ。

 「銀行と証券、信託銀行が一つの組織として機能しているメガバンクはみずほだけだ」。佐藤頭取はこう断言し、メガバンクとしての先進性をアピールした。だが、システム面で先進的だと胸を張れるのは、2016年3月に完全統合を果たし、全く新しいシステムを稼働させた時だろう。ワンバンク実現に向けたみずほ銀の挑戦は続く。